ソウル照覧

ソウルシリーズと趣味の民俗学・歴史等を考察しているブログ

【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~14~

 

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闇の力によって様々な国を滅ぼしてきたカアスの手法

まず挙げられるのが、かつての小ロンドを支配していた四人の公王を倒した後に聞ける以下のカアスによる証言である。

 

闇撫でのカアスのセリフより(四人の公王がいた深淵にて)

貴公…貴公が望むのならば、我が力をも授けよう

闇の王の力、生命喰いの力だ

 

その力で、不死として人であり続け

貴公ら人にはめられた、神の枷をはずすがよい

 

奴らは、だめだった

真実の価値を知らず、ただ力に慢心した

…貴公には、期待しておるぞ

カアスと誓約を結ぶことによって生命喰い、つまりダークレイスの力を手にすることができる。

 

詳しくは語られないものの、このダークレイスの力とはすなわち四人の公王のフィールドであった<深淵>に属するかあるいは近い性質のものであり、グウィン神族が力の源とする<火>の力とは相反するものなのだろう。

 

このダークレイスの力を仮に深淵に近い<闇に属するもの>と仮定する。

小ロンドの指導者であった四人の公王が<闇>に染まったという情報がアイテムなどのテキストで散見されるが、公王たちの配下であったろうダークレイスと化した騎士たちが、小ロンド遺跡のフィールドに配置されている。

 

封印の鍵のテキストより

闇に堕ちた四人の公王の封印たる

小ロンドの水門を開くための鍵

四人の公王とダークレイスを封じるため

封印者は、民人諸々、街を水底に沈めた

かつて小ロンドの豊かな文化は失われ

民草は死して呪われた亡霊となった

 

こうして見るとやはりカアスは小ロンドと無関係ではない。 

 

カアスによる自白、そしてこの世界蛇が深淵に出現したことから、四人の公王が闇に堕ち、果てに小ロンドが滅びた要因はカアスである可能性が高いのではないだろうか。

 

また四人の公王を倒した後に出現する点から、もしかするとカアスは彼らと共に封印されていたのかもしれない。

 

そこでもう一度、チェスターやゴーの証言を思い出してほしい。

 

世界蛇に唆され、古い人の墓を暴いたことでウーラシールは深淵に飲まれ、壊滅寸前にまで追い込まれたと。

 

そして小ロンドも世界蛇によって国が傾いているわけだが、さらにダークソウル3でも世界蛇に関わったことによってロスリックもほぼ壊滅状態となっている。

 

こうして見ると、世界蛇によっていずこかの国が滅ぶ歴史が繰り返されていることがわかる。

 

国を滅ぼすという手法で共通している点からして、ウーラシールとロスリックを滅びに導いたのはカアスである可能性が高いだろう。

 

フラムトではないと考える理由は、「彼の主な手法は人々を火継ぎへ誘うこと」という点で区別できるためだ。

 

火継ぎとは火の時代を継続すべく生み出されたのであり、また最初に薪の王となったグウィンは、深淵を封じるために四騎士の一人アルトリウスをウーラシールに派遣している。

 

であれば火継ぎを慣習とする神々やそれに与する者たちは、そもそも世界蛇によって人に深淵を解き放つよう誘導し、輪の都と親交の深いウーラシールを滅ぼす理由が無いと言える。

 

フラムトはその方針に従うような形で不死(主人公)を試練に導いていることから、カアスの行動とは異なるというわけだ。

 

そして逆にカアスは不死に火継ぎを拒否させ、深淵に近い闇の力(ダークレイス)を与え、火を簒奪するように仕向けてくる。

 

こういったカアスの言動は、以下のような小ロンド・ウーラシール・ロスリックが壊滅状態になった経緯とほぼ一致すると言って良いだろう。

世界蛇によって各国が滅ぼされた経緯

  • 小ロンドとウーラシールは深淵に飲まれて滅びた。
  • ロスリックは火継ぎを拒否したことで国が傾いた。

国は違えど、それぞれの壊滅状態になった理由を改めてよく見れば、ロスリック国の方は全て火継ぎと正反対の性質を帯びていることがよくわかる。

 

グウィンの友であるというフラムトよりも、火の簒奪を唆し国ごと崩壊させる手段を好んで使いそうなのはカアスの方であると言えるだろう。

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。

 

【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~13~

 

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 「四肢の生えた獣姿の世界蛇像」はなぜ獣のような意匠なのか

ここまではロスリック国の「天使に似た世界蛇像」および内部事情についての考察だったが、他の読者らも大体の想像はつくといったところではないだろうか。

 

では次に輪の都にある「四肢の生えた獣姿の世界蛇像」について述べていきたい。

 

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輪の都の世界蛇にそっくりな像

 まず輪の都だがこの地は元を辿ると、かつての大王グウィンが小さな人……つまり人間の祖先らに与えた都だ。

 

大王グウィンと言えばシリーズにおける火継ぎを生み出した神であり、最初に薪の王となった存在でもある。

 

こうしたグウィンの行いから「火が陰った折には薪となる」ことが不死の使命とされていた。

 

よってグウィンの手で創られた輪の都は、基本的に火継ぎを推奨する方針であったと考えられる。おそらくはロスリック国の<青教>と同じだろう。

 

このことから火の簒奪を唆すカアスの存在は、輪の都では否定的に見られていた可能性が充分にあるだろうと見ている。

 

そしてもう一つ挙げられるのが、輪の都とウーラシールとの関連である。

 

テキストによると、輪の都にはウーラシールからの使節団が送られていた可能性が覗える。

 

古めかしい平服のテキストより

古い魔術の国の平服

黄金の飾りは僅かな魔術を帯びているが

本来、戦いのための装束ではない

遥か昔、ある使節団が輪の都を訪ねたとき

唯一人残った若者が

記録上最後の、教会の槍になったという

 

黄金と魔術といえばウーラシールを連想させることから、使節団を送ったのはウーラシールであるという見方が考察界隈で存在している。

 

この説を採用するのであれば輪の都とウーラシールは外交上において、友好的な関係を築いていたと見て良い。

 

そしてこの点からして、輪の都で世界蛇の評判が悪かった理由を察することができる。

 

多くの不死灰諸兄姉がご存知のように、ダークソウル1で登場したウーラシールを壊滅に追い込んだ要因の1つは世界蛇であった。

 

素晴らしいチェスターのセリフより

それにしても、貴様も物好きなことだ

深淵など、まさにウーラシールの自業自得

出っ歯の大蛇に謀られ、墓を掘り、古人の躯を辱めるなど

まさに恥知らず、愚者ではないか

それに、所詮私たちには昔の話だ

貴様の知ったことでもないだろうに クックックッ

 

鷹の目のゴーのセリフより

友アルトリウスを蝕んだ深淵の闇は

いまやこの国、ウーラシールを飲み込もうとしている

…おそらく、滅びは避けられまい

だが、たとえ、闇の蛇に唆されたとて

彼らは自ら望み、あれを起こし、狂わせたのだ

…滅びは自業というものだよ…

 

上記のテキストで語られる証言からして、おそらく世界蛇のことを語っていると察することができるが、この証言からではフラムトとカアスのどちらであるかはっきりと区別がつかない。

 

だがダークソウル3までのシリーズを通して世界蛇の行状を見てみると、ウーラシールを滅ぼしたのもおそらくカアスであったと推測することができる。

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。

 

【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~12~

 

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 「世界蛇に似た天使像」の正体はカアスとフラムトどちらか

「世界蛇に似た天使像」が示しているのは、フラムトとカアスどちらなのかというのも長らく議論が続いている。

 

筆者はどちらかというと、世界蛇を模した天使像はカアスなのではないかと考えているが、同時にどちらであっても恐らく矛盾はないのではないかとも考えている。

 

まず世界蛇の像がカアスであると考える理由だが、その根拠はこれまでのシリーズにおけるカアスの行動と、輪の都に配置されている「四肢の生えた獣姿の世界蛇像」である。

 

まずロスリック国と輪の都には世界蛇の像があるという共通点がある。

 

だがそれぞれの国での世界蛇像は全く異なった形で表されている。

それぞれの国における世界蛇像の姿
  • ロスリック国の世界蛇像→衣服を纏った天使のような姿
  • 輪の都の世界蛇像→四肢が生えたのような姿

こうして比較してみると、ロスリック国と輪の都での世界蛇の扱いは正反対と言える。

 

片や聖人か天使のような雰囲気を称えた姿で表されており、もう一方では獣のような姿で表されているのである。

 

どう見ても輪の都では世界蛇の扱いが雑、というかよろしくない感じがする。

 

ロスリック国での聖職者を思わせる世界蛇像を見た後だと、輪の都に配置された世界蛇像の意匠にはなんとなく世界蛇を貶めるかのような意図まで感じられる。

 

あるいはストレートに悪意が滲み出ているような気さえする。

 

このことから世界蛇はロスリック国と輪の都では、正反対の評価がされていたのではないかと筆者は考えるのである。

 

なぜこのように世界蛇の評価がきっぱりと反対に分かれているのか、それは輪の都とロスリック国の背景から考察することができる。

双王子が火継ぎを拒否したのはカアスの影響だった?

まずロスリックであるが、異端とされた天使信仰をロスリック王家が推奨していた、

そして天使を意識した世界蛇像の姿からして、この蛇は天使信仰に一枚噛んでいたことを前提に考えてみる。

 

ロスリック城に「天使に似た世界蛇像」が建てられていたのは、ロスリック王家が天使信仰に傾倒していたと同時に、蛇が関わっていたことを暗示しているのだろうと思われる。

 

だが本編のアイテムテキストでは、天使信仰は異端であるとされていた。フィールドのあちこちに王家が厚く信仰している気配が見られたにも関わらずである。

 

そもそもなぜ天使信仰は異端とされたのだろうか。まず宗教上における異端と定義されるには、宗教が2つ以上揃っているということが前提条件となる。

 

でなければどちらかの宗教が相手の宗教を異端として指差すことはできない。

つまりロスリック国内では宗教を巡るゴタゴタがあったのだと推察できる。

 

しかし仮にロスリック王家が天使信仰を推進していたとして、王家が信仰する宗教を果たして誰が異端と見なすことができるのだろうか。

 

ロスリック国ではそれが可能と思われる人物がいる。王の重臣・三柱の1つである祭儀長である。

 

祭儀長はロスリック国内で最も高い宗教的権威を持つ役職と思われる。さらに代々の祭儀長は王家の乳母も兼任する。

 

このため祭儀長は宗教上においては王に継ぐ、あるいは同等の権限を持っていたのではないかと考えられる。 

 

祭儀長の指輪のテキストより

古くよりロスリックでは
祭儀長は王を支える三柱のひとつとされた
それは常に女であり、王子の乳母でもあったという

 

羽の騎士装備のテキストより

ロスリックでは、天使信仰は異端であり

三柱の何れもがそれを公認していない

故に「天使の娘」ゲルトルードは

大書庫の天井牢に幽閉されたという

 

国王を頂点に置くロスリック国の統治制度からして、国が推進する宗教に関して王家に口出しできる臣下がいるとすれば、祭儀長を含む三柱くらいのものだろう。

 

では祭儀長らが天使信仰を異端であると見なしたとして、臣下の身分を超え王家に楯突いてまで非難した理由は何か。

 

それは王家が火継ぎも伝統としていた元来の国教を棄て新しい信仰に乗り換えてしまったがために、三柱は天使信仰を異端としたのではないだろうか。

 

ここで思い出されるのが世界蛇カアスである。ダークソウル1のストーリー上におけるカアスはフラムトとは逆に、人の時代、闇の王を生み出すべく火を継ぐのではなく簒奪せよと語りかけてくる。

 

そして王子ロスリックは火継ぎそのものを拒絶しており、まさにカアスから影響を受けたとしか思えない言動が次から次へと飛び出してくる。

 

王子ロスリックのセリフより

「ほう、懲りずにまたやってきたか

 ようこそ、火の無き灰、薪の調達者よ

 だが、私は王とはならぬ

 

火継ぎの使命も、王の血統も、もうたくさんだ

…だから貴公も、もう休むがよい」

 

「灰よ、心しておくがよい

 貴公もまた、呪いに囚われているのだと…」

 

灰と対峙した際のロスリック王子は、このように火継ぎをしない玉座に戻ることを断固拒否する。

 

そして灰との対決においては、天使由来を想起させるようなエフェクトの技をふんだんに使用してくる。

 

前に述べたように祭儀長エンマを通して誓約を結べることから、ロスリック国における元々の国教は<青教>であったと思われる。

 

本編中、祭儀長エンマはロスリック王子が玉座へ戻ることを願っている。この流れから<青教>の教義では、火継ぎこそが火の陰った世界を救う術であると伝えられていたであろうことが伺える。

 

しかしロスリック王家はそんな<青教>の教義には従わず、三柱に異端視されようと自らの周囲に天使と関連すると思われるような象徴物を多く張り巡らせている。その中には「天使に似た世界蛇像」もある。

 

これらのことから王家に接近し火継ぎに抗うように仕向けた蛇はカアスであり、ロスリック内にある「天使に似た世界蛇像」はその経緯を語っているのではないかと筆者は考えているのである。

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。

 

【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~11~

 

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世界蛇の像は天使信仰の聖人を表している?

前述したように一神教では殉教した等の理由で、聖人認定された人物の像を祭壇の前や通路等に配置するパターンが多い。

 

ここから世界蛇の像はカアスあるいはフラムトが、天使信仰に殉じたことを示しているのでは、とも考えることができるのではないだろうか。

 

たとえばダークソウル3の本編において、ロンドールのユリアを倒すと以下のようなセリフを聞くことができる。

 

ロンドールのユリアのセリフより

カアス…貴方の遺志を…

 この「遺志」というワードからすると、カアスはすでにこの世にいないらしい。

 

そしてロスリックにはカアスそっくりな世界蛇の像がいくつも建てられている。

 

すでにご存知の通りロスリックに存在する世界蛇の像は、天使を思わせるような外見をしているわけだが、さらに言えばロスリックの王族が住まうエリア近辺には、天使信仰を強く意識したような意匠のオブジェクトやレリーフが配置されている。

 

これらの情報をまとめてみると、世界蛇は天使信仰と密接な関わりを持っていた可能性を見出せるのだが、ここでもう一度思い出してほしいのが、冒頭で述べた一神教における聖人像の配置の仕方である。

 

聖人像として象られている人物は、その多くが教団の教えを説いて回った、奇跡をもたらした、あるいは殉教した等の逸話を持つ。

 

まずは聖人として認められるためのこの3つのポイントを伝導、奇跡、殉教として抑えてみよう。

 

そしてこの聖人たちの背景を、カアスが世界蛇像のモデルであることを前提に当てはめてみる。すると意外なことに各情報がきれいにはまっていくのである。

 

カアス=世界蛇像であると前提に考えた場合

 ・聖人たちの像はその功績を讃えられ、信徒たちの模範となる等の意味で建てられている。聖人像は主に通路や祭壇のそばに配置される。

→ロスリックの城内には天使に似た似世界蛇像がいくつも建っている。像は竜狩りの鎧がいる橋など、通路的な場所に配置されている。

 

一神教の聖人たちは教団の伝導、奇跡、殉教などの逸話を背景に持つ。

伝導の条件→ロスリック王家は天使信仰を推進していた可能性

奇跡の条件→ロスリックでは天使信仰由来の奇跡が存在する

殉教の条件→カアスはすでに消滅している

 

ロンドールのユリアはカアスがすでに存在しないことを証言している。

 

そしてロスリックではカアスにとてもよく似た像をいくつも見ることができる。

 

ユリア達のような黒教会の勢力ならまだしも、何の故があってロスリックが羽の生えた世界蛇の像を建てたのか。

 

それはロスリック王家が天使信仰を通じて、世界蛇と密接な関係を築いていた、ということではないだろうか。

 

カアスは国教を巡るロスリックの内乱で滅びた?

 天使信仰はロスリック内において異端とされた宗教であるが、王家にも密接に関わっていた可能性があるのではないか。

 

本編中ではオスロエス王(あるいは王家全員)と、その他の者たちが対立していたと思われるテキストがいくつか散見される。

 

竜鱗の指輪のテキストより

オスロエスは晩年竜に魅入られた

正気を失った彼は妖王と呼ばれ

多くの刺客が差し向けられたが

そのことごとくが失敗したという

妖王はそれを竜鱗の加護と呼んだ

影の防具のテキストより

先王オスロエスは、竜に魅入られ妖王となり

多くの刺客を差し向けられたという

しかし誰一人、無事戻るものはなかったと

ソウルの奔流のテキストより

ロスリックと大書庫のはじまりにおいて

最初の賢者が伝えたとされる魔術

最初の賢者は火継ぎの懐疑者であり

また密かに、王子の師でもあったという

武器の祝福のテキストより

ロスリック騎士に授けられた奇跡

騎士はロスリック三柱のひとつであり

賢者が大書庫を得て後

祭儀長との結びつきを強めたという

ここで特に取り上げておきたいのが祭儀長という役職である。祭儀長はおそらく国内で最も影響力を持った宗教者であったろうと思われる。

 

祭儀長の指輪のテキストより

古くよりロスリックでは

祭儀長は王を支える三柱のひとつとされた

それは常に女であり、王子の乳母でもあったという

本編では祭儀長エンマを通して青教の誓約を結ぶことができるので、ロスリックにおける従来の国教は青教であったと思われる。

 

ロスリックの国内がまるで戦争状態でもあったかのように荒れ果て、騎士たちの遺骸があちこちに転がっているのは、祭儀長の勢力が騎士勢力と強い結びつきがあったからではないだろうか。

 

つまり天使信仰を推す王家と青教を推す重臣たちの政治的抗争が起こっていた、と考えられるのである。

 

より砕いて言えばロスリック王家対祭儀長+騎士達による国教を巡る争いで、内乱が起きていた可能性を見出せる、ということだ。

 

天使信仰が異端とされているのにも関わらず、その象徴と思われるオブジェクトが王族の近くにやたらと配置されているという矛盾も、このような事情が原因だったのではないかと筆者は考える。

 

そしてカアスは王家、つまり天使信仰の側に立ちその争いの中で滅び、その後に聖人として認定されたのかもしれない。

 

これらのことから筆者は世界蛇像を天使として見る他にも、世界蛇は天使信仰において殉教した聖人として扱われていたのではないか、とも考察したわけである。

 

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。

 

【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~10~

 

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世界蛇に似た天使像と獣姿の世界蛇像

世界蛇に似た天使像はロスリック城の竜狩りの鎧と遭遇するエリア、または大書庫の篝火近くに配置されている像である。

 

顔形はシリーズでお馴染みのフラムトとカアスなのだが、それに衣服を纏い、羽が付いているという衝撃的な姿のおかげで、非常に高い知名度を誇っていると言える。

 

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羽のはえた世界蛇の像(?)

この像は世界蛇に羽が生えたような姿をしているので、聖女ゲルトルードが見えた

<天使>とは世界蛇なのではないかという説もある。

 

その可能性もあるが、この像についてもう1つの可能性を挙げておきたい。

 

一見、世界蛇像は両側に羽が生えているように見える意匠をしているが、

それは蛇に羽が生えているのではなく、纏っている衣装の一部、装飾である可能性も考えられるというものである。

 

また、世界蛇に似た天使像は<天使>そのものとして結論付けるには、実のところ大きな問題がある。

 

それはなんなのかというとこの世界蛇の像、天使信仰における最も重要な信仰の対象と言うには、あまりにもありがたみが無さすぎるのである。

 

天使信仰というからにはこの宗教における、言わば御本尊というべき存在はもちろん天使だと言える。

 

ここで一度思い出して頂きたいのが、世界蛇像の配置の仕方である。というのもこの像は天使信仰の本尊というには、あまりにも多すぎるのである。

 

ロスリック内に存在する世界蛇の像は、竜狩りの鎧と闘うフィールド上などに複数配置されている。

 

筆者はこの点に注目してみた。古今東西の宗教に共通する点として、

たいてい御本尊・御神体となる神はその場所ごとに唯一の存在として祀られる。

 

祀る神の眷属であるならば日本でも大量の眷属を配置する例もあるが、やはり祀る神は別格扱いで祠や祭壇に配置するパターンが多い。

 

信仰において天使が最も尊い信仰対象であるなら、その像をましてや通路などにやたらめったら量産して並べるだろうか?

 

演出的に信仰対象のありがたみが半減どころか薄っぺらくなること請け合いだ。

 

そして天使信仰というからには、この信仰の対象は<天使>のみという場合も充分考えられる。そういった一神教的な性格を帯びている場合で考えても、この世界蛇の配置はやはり妙だ。

 

我々の世界における一神教でも、基本的に神の子や聖母の偶像を、量産して通路の脇に並べることはしない。

 

一神教でそういった配置となるのは、神の使いとしての天使、

あるいは殉教した等の理由で聖人として認められた人物である。

 

そのように見ていくとある1つの推論が浮かび上がる。この天使を意識した世界蛇の像は、本尊ではなくむしろ眷属、あるいは天使信仰を説く司祭のような立場にあり、それを象ったものではないかと。

 

そうなるとこの「世界蛇に似た天使像」は、天使そのものではなく天使信仰の布教に世界蛇が関わっていたことを示唆している可能性も考えられはしまいか。

 

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。