ソウル照覧

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【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~20~

 

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本編のテキストには何も語らぬニトの本心が隠されている?

ニトは長らく人間に枷を嵌めたことを後悔していたのではないか。

 

そう考える根拠はいくつかある。とはいえこれも筆者の憶測が多分に

入るので、それを前提で読んでいただきたい。

 

まずはダークソウル2に登場するミルファニトの存在である。

 

歌い手である彼女たちからはこのような証言が得られる。曰く、

 

「大いなる死者から歌を授かり、闇と死に囚われた者たちを慰めるために歌っている」

 

<神の枷>を嵌めていたのはニトであるが、人間たちの死を軽々しく思っていたわけではないことが見て取れる。

 

己の力で死に追いやった人間たちの魂を慰めることで、少しでも贖罪に繋げようとしていたのだろうか(無意味な行いかどうかはともかく)。

 

もしからするとニト自身が、<歌>というものに優しさや慰めを見出しており、その体験からこのような処置を講じたのかもしれない。

 

あともう一つだけ論拠を挙げたい。

墓王ニトがかつて不死の人間であり、激しい争奪戦の末に王のソウルを手にした不死の英雄でもあったことは繰り返し述べてきた。

 

だがニトは決して自らを<英雄>だと吹聴することもなければ、

充分に足る実績を持っていたのにも関わらず、誰も知らぬ小人を

押しのけて己が<人間の祖>であると粉飾することもなかった。

 

ニトの立場上、そうすることは充分に可能であったのにも関わらずである。

 

これが「見栄っ張りの嘘つき」な性質を持つグウィンであれば当然、

己を英雄化した武勇伝を世界中に流すくらいのことはしただろう。

 

それどころかニトは決して、自ら表に大きく出ることはなかった。

 

もしかすると人であったという出自から、神々に軽んじられていたかもしれない。

 

あるいは、人間たちに枷を嵌めている己を、神というきらきらしい称号で飾る気は無かったのかもしれない。

 

ダークソウルの物語には神々の中でおそらく唯一人、人から神となったニトが持つ、人間たちへの憐憫がそこここに漂っている。

 

筆者はそう強く思えてならないのである。

 

受け継がれる不死の意志

 墓王ニト。その正体はかつて<はじまりの火>の試練を制し、王のソウルを手に入れた古き不死の英雄。そして人の輪から逸脱した孤独な神であった。

 

死という強大な力を持ちながら、それでもなお歴史の表へ出ず

沈黙を守り続けた神は、ついに何も語ることなく、

<火継ぎ>へと駆り出された不死の手で討伐される。

 

だがニトの中にあった人への<後悔><憐憫><哀しみ>

人であった神のその意志は時を経て、どこかで芽吹いたのではないだろうか。

 

たとえば神々の真実を知って失望したエルドリッチは神喰らいとなり、人間を食い物にしていた神々を喰らうことで、ついに報復を成し遂げたのである。

 

不死は死なず。ゆえにその意志もまた朽ちることはない。魂の宿る器がたとえ志半ばで討たれようと、時の流れの中で、不死の意志は再び芽吹く。

 

ダークソウルの物語が繰り返される毎に、名も無き不死の英雄の

意志もまた、継承されていくのだろう。

 

誰にも語られぬ世界の片隅で、暗く、ひそやかに。

 

~了~

 

 

 

拙い考察ですが読んでくれてありがとうございました。

 

また、本記事を書くにあたって、以下のサイト様の考察・情報を参考にさせていただきました。改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

ACID BAKERY

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 ダークソウル3 (DARK SOULS III) 神攻略wiki

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。