ソウル照覧

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【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~11~

 

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世界蛇の像は天使信仰の聖人を表している?

前述したように一神教では殉教した等の理由で、聖人認定された人物の像を祭壇の前や通路等に配置するパターンが多い。

 

ここから世界蛇の像はカアスあるいはフラムトが、天使信仰に殉じたことを示しているのでは、とも考えることができるのではないだろうか。

 

たとえばダークソウル3の本編において、ロンドールのユリアを倒すと以下のようなセリフを聞くことができる。

 

ロンドールのユリアのセリフより

カアス…貴方の遺志を…

 この「遺志」というワードからすると、カアスはすでにこの世にいないらしい。

 

そしてロスリックにはカアスそっくりな世界蛇の像がいくつも建てられている。

 

すでにご存知の通りロスリックに存在する世界蛇の像は、天使を思わせるような外見をしているわけだが、さらに言えばロスリックの王族が住まうエリア近辺には、天使信仰を強く意識したような意匠のオブジェクトやレリーフが配置されている。

 

これらの情報をまとめてみると、世界蛇は天使信仰と密接な関わりを持っていた可能性を見出せるのだが、ここでもう一度思い出してほしいのが、冒頭で述べた一神教における聖人像の配置の仕方である。

 

聖人像として象られている人物は、その多くが教団の教えを説いて回った、奇跡をもたらした、あるいは殉教した等の逸話を持つ。

 

まずは聖人として認められるためのこの3つのポイントを伝導、奇跡、殉教として抑えてみよう。

 

そしてこの聖人たちの背景を、カアスが世界蛇像のモデルであることを前提に当てはめてみる。すると意外なことに各情報がきれいにはまっていくのである。

 

カアス=世界蛇像であると前提に考えた場合

 ・聖人たちの像はその功績を讃えられ、信徒たちの模範となる等の意味で建てられている。聖人像は主に通路や祭壇のそばに配置される。

→ロスリックの城内には天使に似た似世界蛇像がいくつも建っている。像は竜狩りの鎧がいる橋など、通路的な場所に配置されている。

 

一神教の聖人たちは教団の伝導、奇跡、殉教などの逸話を背景に持つ。

伝導の条件→ロスリック王家は天使信仰を推進していた可能性

奇跡の条件→ロスリックでは天使信仰由来の奇跡が存在する

殉教の条件→カアスはすでに消滅している

 

ロンドールのユリアはカアスがすでに存在しないことを証言している。

 

そしてロスリックではカアスにとてもよく似た像をいくつも見ることができる。

 

ユリア達のような黒教会の勢力ならまだしも、何の故があってロスリックが羽の生えた世界蛇の像を建てたのか。

 

それはロスリック王家が天使信仰を通じて、世界蛇と密接な関係を築いていた、ということではないだろうか。

 

カアスは国教を巡るロスリックの内乱で滅びた?

 天使信仰はロスリック内において異端とされた宗教であるが、王家にも密接に関わっていた可能性があるのではないか。

 

本編中ではオスロエス王(あるいは王家全員)と、その他の者たちが対立していたと思われるテキストがいくつか散見される。

 

竜鱗の指輪のテキストより

オスロエスは晩年竜に魅入られた

正気を失った彼は妖王と呼ばれ

多くの刺客が差し向けられたが

そのことごとくが失敗したという

妖王はそれを竜鱗の加護と呼んだ

影の防具のテキストより

先王オスロエスは、竜に魅入られ妖王となり

多くの刺客を差し向けられたという

しかし誰一人、無事戻るものはなかったと

ソウルの奔流のテキストより

ロスリックと大書庫のはじまりにおいて

最初の賢者が伝えたとされる魔術

最初の賢者は火継ぎの懐疑者であり

また密かに、王子の師でもあったという

武器の祝福のテキストより

ロスリック騎士に授けられた奇跡

騎士はロスリック三柱のひとつであり

賢者が大書庫を得て後

祭儀長との結びつきを強めたという

ここで特に取り上げておきたいのが祭儀長という役職である。祭儀長はおそらく国内で最も影響力を持った宗教者であったろうと思われる。

 

祭儀長の指輪のテキストより

古くよりロスリックでは

祭儀長は王を支える三柱のひとつとされた

それは常に女であり、王子の乳母でもあったという

本編では祭儀長エンマを通して青教の誓約を結ぶことができるので、ロスリックにおける従来の国教は青教であったと思われる。

 

ロスリックの国内がまるで戦争状態でもあったかのように荒れ果て、騎士たちの遺骸があちこちに転がっているのは、祭儀長の勢力が騎士勢力と強い結びつきがあったからではないだろうか。

 

つまり天使信仰を推す王家と青教を推す重臣たちの政治的抗争が起こっていた、と考えられるのである。

 

より砕いて言えばロスリック王家対祭儀長+騎士達による国教を巡る争いで、内乱が起きていた可能性を見出せる、ということだ。

 

天使信仰が異端とされているのにも関わらず、その象徴と思われるオブジェクトが王族の近くにやたらと配置されているという矛盾も、このような事情が原因だったのではないかと筆者は考える。

 

そしてカアスは王家、つまり天使信仰の側に立ちその争いの中で滅び、その後に聖人として認定されたのかもしれない。

 

これらのことから筆者は世界蛇像を天使として見る他にも、世界蛇は天使信仰において殉教した聖人として扱われていたのではないか、とも考察したわけである。

 

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。