ソウル照覧

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【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~09~

 

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残る天使候補(天使像)についての考察

 

さて<天使>の正体を考察するにおいて外せないのが、天使像ついての考察である。

 

ロスリック国には複数の箇所に天使を象った像が配置されている。

 

これを見るに天使信仰は思った以上にロスリック国内で影響を及ぼしていたと思われる、

 

筆者は法王サリヴァーンを<天使>と見たが、そうなるとこれらの像は何だったのかとなる。

 

いくら<天使>の正体を見定め考察ができたとしても、<天使>を象ったと思われるこれらの像は、明らかに天使信仰を意識しているようにも見えるので完全に無視するわけにもいかない。

 

よって、天使候補と思われる像についての考察も述べていこうと思う次第である。

 

ただ、ロスリックに存在する天使に似た彫刻全てに言及するわけではない。その点を留意した上で読み進めていただきたい。

 

王冠を被った壮年男性の天使像

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王冠を被った天使像

 

まず天使候補と思われる像として取り上げるのが、双王子が籠もる部屋の前に配置されている王冠を被った天使像である。

 

双王子とはシナリオ上必ず対決することになるので、王冠を被った天使のような像は多くの灰諸兄姉らの目にも焼き付いていることだろう。

 

我々の世界で言えばこの像は「天使を象った像」で間違いない。

 

だがこれはダークソウル世界における文化思想の産物であり、この像の由来が我々の世界における文化思想と全く同じであると言い切ることはできない。

 

何が言いたいのかというと、<天使>の考察でも述べたように、蛹から召喚される<吹き溜まりの天使>の姿が、天使信仰の物語から来ているのだとすれば、この像は必ずしも信仰対象の<天使>そのものとは言い切れない可能性もあるということだ。

 

まず筆者の結論を述べるとこの像のモデルは、かつてのオスロエスではないかと見ている。

 

その論拠としてまず挙げられるのが天使像の男性が被る「王冠」である。

 

双王子というネーミング、そしてロスリック国関連のテキストでは王子たちの他、「王」や「王妃」という文言が見受けられることからも、ロスリック国は王を頂点に戴く君主制の国であると思われる。

 

そして君主制の国ならばそれは王国である。王国において王冠を頭上に戴く資格を持つのはただ1人、国王のみである。

 

とすればロスリック国内において、王冠を戴く像として表されるのはオスロエス王しかいない、というわけである。

 

王冠を被った天使像のモデルがオスロエス王であると述べる、もう一つの論拠として挙げるのが背中の翼である。

 

ここで思い出していただきたいのが、灰が妖王と化したオスロエスと対峙するときの姿である。

 

オスロエスは白竜の異端に触れた結果、竜のような姿に変じているのであるが、よく見るとその背中には羽がある。

 

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妖王オスロエスと天使像の左手は同じポーズを取っており、羽が生えている点も同じ


 思うにオスロエスは竜に変じる前、あの「王冠を被った天使像」に近い姿をしていたのではあるまいか。

 

ちなみに妖王オスロエス左手で常に何かを抱えているようなポーズを取っているのだが、「王冠を被った天使像」も同じポーズを取っている。

 

あるいは王が天使信仰を推奨していることを意味するものとして、あのようなデザインが採用されたのではないかと筆者は考えている。

 

さらに言えば、オスロエスをはじめとしたロスリック王家自体が<天使>を信仰していた可能性がある。

 

ロスリック国において天使信仰は異端とされていたというが、それにしては天使を連想させるオブジェクトが国内のあちこちに散見される。

 

特にロスリックの城内、王族である双王子の部屋の入り口には「王冠を被った天使像」があり、さらに部屋の入り口を裏から見ると、扉の上には天使が王冠を授けているようなレリーフもある。

 

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双王子の部屋の入り口裏に彫られたレリーフ

また、王妃の実子であるという聖女ゲルトルードが関連するフィールドには羽騎士が配置されている他、白い羽が散らばっている。

 

ここで突然ではあるが、比較対象として同じく異端扱いを受けているベルカ信仰を挙げておきたい。

 

白教から異端とされているベルカ信仰は、本編中その信仰に関する象徴物はほとんど残されておらず、絵画世界にやっとその名残りを見出せる程度である。

 

絵画世界の外にもベルカであると思われる罪の女神を象った像は存在するが、不死街の洞窟のような場所 (ダークソウル3・恥部隠しが落ちている場所)に、まるで隠すかのように安置されているくらいである。

 

不死はダークソウル1の頃より白教から疎まれる存在であり、その不死たちから頼みにされたのが、これまた白教から異端扱いされた女神ベルカであったという背景が透けて見える。

 

白教が女神ベルカを異端と指差し、そして信者から女神が隠されていたとするならば、

白教からの弾圧のために堂々と礼拝できなかったであろうことは想像に難くない。

 

ために異端扱いされた不死の信仰対象である女神像は、人目につかぬよう祀られていたというわけだ。

 

これを見ていると、天使信仰が国内で異端とされ弾圧対象とされているにしては、いやに堂々としすぎていると感じはしないだろうか。

 

天使信仰が信奉されていた名残りがロスリック内の至る所で見られるのは、ロスリック王家によって天使信仰が推奨・庇護されていた時代があったからではないだろうか。

 

むしろそう考えると、王族の近くに天使との関連を匂わせるオブジェクトが配置されている訳にも納得がいく。

 

ましてや「王冠を被った王のような天使像」や「空から王冠を授ける天使のレリーフ」を王族(双王子)の部屋の前に配置するなど、王家が天使信仰に染まっていたのでもなければ実現できる可能性は恐ろしく低いのではないか。

 

これらの仮説を前提にすると双王子の部屋の前に王冠の天使像が配置されていること、部屋の中に羽が散らばっていること、王子ロスリックが空中を舞う天使と似たエフェクトの奇跡を駆使してくることなど、それら全ての謎にも説明を付けることができる。

 

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双王子の部屋の床に散らばる夥しい数の羽(?)

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。