ソウル照覧

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【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~12~

 

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 「世界蛇に似た天使像」の正体はカアスとフラムトどちらか

「世界蛇に似た天使像」が示しているのは、フラムトとカアスどちらなのかというのも長らく議論が続いている。

 

筆者はどちらかというと、世界蛇を模した天使像はカアスなのではないかと考えているが、同時にどちらであっても恐らく矛盾はないのではないかとも考えている。

 

まず世界蛇の像がカアスであると考える理由だが、その根拠はこれまでのシリーズにおけるカアスの行動と、輪の都に配置されている「四肢の生えた獣姿の世界蛇像」である。

 

まずロスリック国と輪の都には世界蛇の像があるという共通点がある。

 

だがそれぞれの国での世界蛇像は全く異なった形で表されている。

それぞれの国における世界蛇像の姿
  • ロスリック国の世界蛇像→衣服を纏った天使のような姿
  • 輪の都の世界蛇像→四肢が生えたのような姿

こうして比較してみると、ロスリック国と輪の都での世界蛇の扱いは正反対と言える。

 

片や聖人か天使のような雰囲気を称えた姿で表されており、もう一方では獣のような姿で表されているのである。

 

どう見ても輪の都では世界蛇の扱いが雑、というかよろしくない感じがする。

 

ロスリック国での聖職者を思わせる世界蛇像を見た後だと、輪の都に配置された世界蛇像の意匠にはなんとなく世界蛇を貶めるかのような意図まで感じられる。

 

あるいはストレートに悪意が滲み出ているような気さえする。

 

このことから世界蛇はロスリック国と輪の都では、正反対の評価がされていたのではないかと筆者は考えるのである。

 

なぜこのように世界蛇の評価がきっぱりと反対に分かれているのか、それは輪の都とロスリック国の背景から考察することができる。

双王子が火継ぎを拒否したのはカアスの影響だった?

まずロスリックであるが、異端とされた天使信仰をロスリック王家が推奨していた、

そして天使を意識した世界蛇像の姿からして、この蛇は天使信仰に一枚噛んでいたことを前提に考えてみる。

 

ロスリック城に「天使に似た世界蛇像」が建てられていたのは、ロスリック王家が天使信仰に傾倒していたと同時に、蛇が関わっていたことを暗示しているのだろうと思われる。

 

だが本編のアイテムテキストでは、天使信仰は異端であるとされていた。フィールドのあちこちに王家が厚く信仰している気配が見られたにも関わらずである。

 

そもそもなぜ天使信仰は異端とされたのだろうか。まず宗教上における異端と定義されるには、宗教が2つ以上揃っているということが前提条件となる。

 

でなければどちらかの宗教が相手の宗教を異端として指差すことはできない。

つまりロスリック国内では宗教を巡るゴタゴタがあったのだと推察できる。

 

しかし仮にロスリック王家が天使信仰を推進していたとして、王家が信仰する宗教を果たして誰が異端と見なすことができるのだろうか。

 

ロスリック国ではそれが可能と思われる人物がいる。王の重臣・三柱の1つである祭儀長である。

 

祭儀長はロスリック国内で最も高い宗教的権威を持つ役職と思われる。さらに代々の祭儀長は王家の乳母も兼任する。

 

このため祭儀長は宗教上においては王に継ぐ、あるいは同等の権限を持っていたのではないかと考えられる。 

 

祭儀長の指輪のテキストより

古くよりロスリックでは
祭儀長は王を支える三柱のひとつとされた
それは常に女であり、王子の乳母でもあったという

 

羽の騎士装備のテキストより

ロスリックでは、天使信仰は異端であり

三柱の何れもがそれを公認していない

故に「天使の娘」ゲルトルードは

大書庫の天井牢に幽閉されたという

 

国王を頂点に置くロスリック国の統治制度からして、国が推進する宗教に関して王家に口出しできる臣下がいるとすれば、祭儀長を含む三柱くらいのものだろう。

 

では祭儀長らが天使信仰を異端であると見なしたとして、臣下の身分を超え王家に楯突いてまで非難した理由は何か。

 

それは王家が火継ぎも伝統としていた元来の国教を棄て新しい信仰に乗り換えてしまったがために、三柱は天使信仰を異端としたのではないだろうか。

 

ここで思い出されるのが世界蛇カアスである。ダークソウル1のストーリー上におけるカアスはフラムトとは逆に、人の時代、闇の王を生み出すべく火を継ぐのではなく簒奪せよと語りかけてくる。

 

そして王子ロスリックは火継ぎそのものを拒絶しており、まさにカアスから影響を受けたとしか思えない言動が次から次へと飛び出してくる。

 

王子ロスリックのセリフより

「ほう、懲りずにまたやってきたか

 ようこそ、火の無き灰、薪の調達者よ

 だが、私は王とはならぬ

 

火継ぎの使命も、王の血統も、もうたくさんだ

…だから貴公も、もう休むがよい」

 

「灰よ、心しておくがよい

 貴公もまた、呪いに囚われているのだと…」

 

灰と対峙した際のロスリック王子は、このように火継ぎをしない玉座に戻ることを断固拒否する。

 

そして灰との対決においては、天使由来を想起させるようなエフェクトの技をふんだんに使用してくる。

 

前に述べたように祭儀長エンマを通して誓約を結べることから、ロスリック国における元々の国教は<青教>であったと思われる。

 

本編中、祭儀長エンマはロスリック王子が玉座へ戻ることを願っている。この流れから<青教>の教義では、火継ぎこそが火の陰った世界を救う術であると伝えられていたであろうことが伺える。

 

しかしロスリック王家はそんな<青教>の教義には従わず、三柱に異端視されようと自らの周囲に天使と関連すると思われるような象徴物を多く張り巡らせている。その中には「天使に似た世界蛇像」もある。

 

これらのことから王家に接近し火継ぎに抗うように仕向けた蛇はカアスであり、ロスリック内にある「天使に似た世界蛇像」はその経緯を語っているのではないかと筆者は考えているのである。

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。