ソウル照覧

ソウルシリーズと趣味の民俗学・歴史等を考察しているブログ

【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~08~

 

f:id:rouran369:20201025172018j:plain

 

※<吹き溜まりの天使>は樹樹のような見た目をしている(2・3)  の続き 

樹を思わせる<吹き溜まりの天使>の姿は天使信仰の物語によるものだった?

ここで一旦、<吹き溜まりの天使>が召喚されるカラクリについて整理しておきたい。

 

先程述べたように、<蛹>は<蓋かぶりの巡礼者>から生ずる、言わば成れの果てのような存在である。

 

そして<蓋かぶりの巡礼者>が宗教者であり、それから生じた<蛹>が<天使>の似姿と思われる<吹き溜まりの天使>を喚ぶのであれば、<蓋かぶりの巡礼者>が信仰する対象は<天使>である可能性が高い。

 

そして天使信仰は、聖女ゲルトルードが天使から伝えられた物語によって興った信仰である。

 

また、ダークソウルの世界において神の物語は奇跡(魔法)を起こす要となる。

 

これらの情報を繋げていくと、<蛹>がどうやって天使を召喚しているかの仕組みも推理できるようになる。

 

つまりダークソウル世界の奇跡(魔法)の仕組みから考察すると、天使信仰による物語もまた奇跡(魔法)の効果を発揮する要素となりえる、ということだ。

 

このことから<吹き溜まりの天使>を召喚する<蛹>の能力も、<天使>の物語から成る信仰心が由来となっている可能性が見えてくるのである。

 

ここまでが筆者が考察する<吹き溜まりの天使>が召喚されるカラクリとなるわけだが、実のところ本題はここからである。

 

<蛹>がひたすらに召喚し続ける<吹き溜まりの天使>は、なぜ樹木を想起させるような姿をしているのだろうか。

 

先より述べてきた<吹き溜まりの天使>が召喚されるカラクリから、

筆者は<吹き溜まりの天使>があのような姿形をしている原因は、

天使信仰の中で語られる物語にあると考える。

 

つまり、天使信仰の中で語られる天使は、樹の枝のような羽を持っているのではあるまいか。

 

我々の世界における「一般的な天使」のように、ただ羽が付いた人の姿をしているのであれば、<吹き溜まりの天使>の羽も羽毛のようになっている可能性が高いだろう。

 

だが実際のところ、<吹き溜まりの天使>の羽は羽毛ではなく、なぜか樹の枝のような見た目である。

 

これは天使信仰における<天使>の特徴が、そのように語られていたからこそではないか、ということだ。

 

より具体的に言うと、物語(神話)を学ぶことによって発動する奇跡(魔法)の仕組みから、<吹き溜まりの天使>は奇跡によって召喚(発動)された産物であり、樹木のような羽となっているのは、ゲルトルードによる物語(書き付け)に記されていたからではないかということだ。

 

以前述べたグウィンの正体に関する考察で述べたように、ダークソウル世界における神話とは、魔法の要であると同時に信仰心による強力な暗示効果も期待できる代物である。

 

逆算すれば物語を読むことによって奇跡の効果を想起させるからこそ、奇跡は効果を伴って発動するのだ。

 

その点をこれまで述べてきた<吹き溜まりの天使>が召喚される条件に当てはめれば、<吹き溜まりの天使>の羽が羽毛ではなく樹木のようになっている理由を明らかにすることができる。

奇跡が発動する条件

神の物語を学び、物語に登場する神を信じることで発動する。信仰心が強いほど強力な効果を得られる。つまり物語に記述された内容から奇跡を発動させている。

<吹き溜まりの天使>の姿が樹木に似ている理由(考察)

・天使を信仰する巡礼者から生じた蛹が<吹き溜まりの天使>を召喚する。

 →天使信仰はゲルトルードが記述した書き付けが源流となっている。

・信者たちはゲルトルードの書き付けの内容から<天使>を想起している。

・<蛹>が喚ぶ<吹き溜まりの天使>は書き付けに書かれた<天使>の姿を元にしている。

 →つまりゲルトルードの書き付けに記述された<天使>の特徴は樹木に似た特徴を有していると考えられる。

 

このように考えれば、<蛹>たちが召喚する<吹き溜まりの天使>が、なぜ皆一様に樹の枝のような羽を生やしているのかという点も説明することができる。

 

ダークソウル世界における奇跡が誰が使っても効果に違いが無いのと同様に、

天使信仰の<天使>像も、源流となる神話(ゲルトルードの書き付け)によって

統一されているというわけだ。

 

樹の枝のような羽を持つ天使……それこそが天使信仰における教義の天使であり、聖女ゲルトルードに物語を伝えた<天使>の姿として伝承されていたと考えられるのである。

 

そしてこの点こそが、サリヴァーンが<天使>であると示唆する大きなヒントだったのではないだろうか。

 

天使を信仰する<蓋かぶりの巡礼者>たちへ伝承された物語によって、<蛹>たちが「樹の枝のような羽を持つ天使の姿を思い描いている」のであれば、数ある候補の中でその条件に最も合致するのは、やはり樹木のような羽根を生やすサリヴァーンしかいない。

 

灰(プレイヤー)を視認すると空中から光の矢を連射してくる(4)

先にも述べたが、筆者は王子ロスリック(あるいは双王子)が天使信仰に由来する奇跡を習得していたのではないかと考えている。

 

そもそも王子ロスリックが放ってくる魔法や、灰が習得できる天使信仰が由来となっている奇跡には、光のほかに羽が舞うエフェクトが付いているほか、ビームのような遠距離攻撃といった共通点がある。

 

そして<吹き溜まりの天使>もまた、天使の物語から来る奇跡の産物であるとするならば、光の矢を放つといった技を使ってきてもそう違和感は無いと言える。

 

あるいは同じ系統の奇跡による存在だからこそ、<吹き溜まりの天使>は上記で記したような特徴を持つ技を使ってくるのではないかとも考えられるだろう。

 

さらに<吹き溜まりの天使>の外見は樹木に似たものとなっており、サリヴァーンもまた樹木に似た羽を持つ。

 

そしてサリヴァーンは魔術師である。もしゲルトルードに見えた際に伝えた天使の物語が、そのまま奇跡のスクロールとなる代物だったとすれば、それはまさしく魔法の仕組みに造詣が深い魔術師によるお膳立てだったのではないかと考えることもできるのである。

 

以上の考察から、<天使>の正体こそが法王サリヴァーンではないかという疑念が、筆者の中で大きく膨らんでいったというわけである。

 

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。