【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~04~
王子ロスリックの蘇生術はカバラによるものだった?
筆者が天使信仰とカバラに注目する根拠はまだある。それは「蘇生」である。
周知の通り、ダークソウル3でも蘇生の魔法を使う人物がいる。
そう、ロスリックの国において「王」の資格を持って
生まれた王子ロスリックである。
王子ロスリックは灰と対峙するボスの一体であり、双王子の片割れとして登場する。
緒戦は兄王子ローリアンとの戦いになる。だがローリアンが倒れると、今度は弟のロスリックも参戦してくる。
彼が参戦することによって闘いの様相が大きく変化する。最たる特徴と言えるのが、先に兄王子が倒されると今度は弟が魔法で兄を蘇生させてくる点である。
まさかの蘇生魔法に多くの灰諸兄姉らが度肝を抜かれることになったわけだが、この蘇生を使ってくることにより、
この双王子はこれまでのシリーズの中でも、際立って異彩を放つボスとなっている。
そう、これまでのシリーズを振り返っても、表立って蘇生魔法を使ってくるボスというのは、この王子ロスリックだけなのである。
単なるアクションRPGならば、連作ではお約束の目新しいボスが生み出された程度の認識で終わるだろう。
だがこれはソウルシリーズの話である。この点からして新要素を単なる「飽きさせないための措置」だけの意味で捉えず、考察材料にすることもできる。
それについては例えば、<ロザリアの指>が挙げられる。<ロザリアの指>もダークソウル3から登場した誓約であったが、こちらも考察すればするほど、本編では明かされなかった裏の物語を見出すことができた。
ここはフロム脳の疼きにまかせ、王子ロスリックの使用していた蘇生魔法にも、何かしらの意図が込められていたのだと、筆者は考察してみることにした。
すると、これまた天使信仰とカバラ、そしてサリヴァーンの影とロスリック国の影、それらがいかな由縁と形で繋がっていたのかが、だんだんと見えてきたのである。
カバラにも死者を蘇生させる秘術が存在した?
カバラと言えば数秘術や宇宙を象徴する生命の樹(セフィロト)が有名だが、実は蘇りの概念も存在する。
非常にマニアックな内容になるため、大幅に端折る形になるが、簡単に言うとゾーハル(光輝の書)を含めたカバラ神秘思想が収められているトーラー(五書)には、死者を蘇生させる秘術も記されているとのことである。
ただしトーラー(五書)は正しい配列になっていない。これを正すことができれば、トーラーを読んだだけで死者を蘇生させる奇跡を起こすことが可能になる。
(※カバラとその象徴的表現より)
そのヒントとして在るのかはわからないが、かの生命の樹(セフィロト)にも復活の要素が組み込まれている。それが第六のセフィラ・ティファレトである。
<ティファレト:6>
セフィロトにおける第六のセフィラ・ティファレトにはエジプト神話のオシリス、またはキリスト教のジーザス・クライストのように、復活する神や伝説的人物が対応する。
このようにカバラでは未だその詳細は明かされないまでも、蘇生の秘術が「存在」する可能性があると考えられる。
そしてもう一つ重要となるのが、カバラと天使は密接に関係しているという点である。
カバラの神秘を詰め込んだセフィロトを構成する「セフィラ」には、それぞれに対応した天使が設定されているほか、トーラーにも天使についての言及があるという。
先に述べたように、そもそもカバラ自体に天使から預言者に伝授されたという伝承があるので、カバラと天使は切っても切れない関係だと言える。
ちなみに死者蘇生の秘術と言えばブードゥー教のゾンビも挙げられる。
キリスト教との融合によって聖人崇拝も見られるようだが、元々は精霊信仰なのでキリスト教にいるような天使との関連は、おそらくカバラと天使ほど濃密ではないと判断したため、今回の考察ではブードゥーについては触れないことにした。
これらの情報から王子ロスリックの蘇生魔法のルーツには、カバラ思想が少なからず含まれているのではないかと筆者は考察している。
また「大書庫」の最奥にある双王子の部屋では、床にたくさんの白い羽が散らばっており、これも天使信仰を強烈に暗示させるような演出がされている。
そして先にも述べたように、カバラは天使メルキゼデクからもたらされたものであるが、天使信仰もまたゲルトルードが<天使>に見えたことが発端となっている。
こうしてみれば王子ロスリックが使う蘇りの秘術は、<天使>によってもたらされたのではないかと考察できると言える。
また、ロスリックの城にはなぜかサリヴァーンと思われる人物の石像が設置されているが、はっきりと名言されずとも彼らは物語の裏で関わりがあったろうことが朧気ながら察せられる。
可能性は色々あるが、たとえば<天使>の正体がサリヴァーンであるとするならば、王子に蘇りの秘術をもたらしたのはサリヴァーンではないか、と見ることもできる。
このように、カバラと天使メルキゼデクを元にして、サリヴァーンと天使信仰を考察していくと、面白いほどに点と点が繋がっていくのである。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。
【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~03~
メルキゼデクとサリヴァーンは共に「罪を裁く」権能を持つ
「正義を司る権能」は世界の神話でもよく見られるが、こういった権能を持つ存在は多くの場合、人間の罪を計り、罪が重ければ裁きを与えるという共通項がある。
キリスト教では大天使ミカエルもまた、人間の魂を秤にかけるとされている。
さらに黙示録で予言された終末の日で、人々を天国に招くか、
反対に地獄へ叩き落とすかを判ずるのは、神ではなく天使なのである。
正義と平和の天使であるメルキゼデクもまた、「正義」を司る以上、
罪を裁く権能を持つと解釈できるわけだ。
そしてサリヴァーンであるが、彼もまた、「罪と裁き」に関連する特徴がある。
サリヴァーンとはアノール・ロンドで対峙することになるのだが、その際に彼は左右に装備した剣での二刀流を駆使してくる。
彼の両手に握られている剣の名は<裁きの大剣(左)>と<罪の大剣(右)>である。
先程も述べたように、神話伝承における「正義」の権能は罪に対し罰を与える力として表されることが多く、聖書の天使もまた人間を裁く存在である。
それではここで、法王サリヴァーンが天使信仰の伝承で語られる<天使>であったとする説を前提に、彼の主な特徴を挙げておこう。
さらに天使メルキゼデクの特徴も並べて両者を見比べてみると、面白いほどに似通っていることがわかる。
法王サリヴァーンと天使メルキゼデクの類似点
メルキゼデクがもたらしたカバラは、現代でも西洋魔術の根拠として重要視されており、その点からメルキゼデクもまた魔術に深く関わる天使であると言える。
一方でサリヴァーンもまた現役の魔術師であり、ゲルトルードに天使信仰をもたらし、さらに天使関連の奇跡(魔法)を与えたという解釈が可能である。
そしてメルキゼデクは王であり祭司でもあった。メルキゼデク自体が人々を治める王なのだから、国内における最高位の宗教指導者と言って良い。
つまり「王であり祭司であった」とは法王とほぼ同義である。この点もサリヴァーンと一致する。
さらにメルキゼデクは正義を司る天使でもある。
対してサリヴァーンは背中から黒い翼を生やすほか、その両手に<裁きの大剣>と<罪の大剣>を持ち、これまた我々の世界でお馴染みとなっている
『正義の天使が持つ「正義の権能」と共通するアイテム』を所持している。
これらの点から、天使メルキゼデクは天使信仰のモチーフであったと同時に、天使の正体はサリヴァーンなのではないかと思うに至ったのである。
「法王」とは支配者としての「王」を意味する役職ではない
ここで一つ「法王(教皇)」という役職について述べておきたいことがある。
「法王」の呼称には「王」と付いているが、現代において法王とは国を統治する王として君臨しているのではない。
より具体的に言うと、我々が知る現代の法王もまた「神の教え」を学ぶ途上にいる者であり、言うなれば「信徒」の一人に過ぎず、神そのものでも無ければ同列でもない。さらに言えば一国の主でもない。
では「法王」とは何なのかというと、一宗派における最高権威者、または宗派を代表する者としての称号なのである。
要はその宗派において一番の権力を有するのが「法王」という役職なのである。
法王たちは「神」の代わりに信徒たちへ神の教えとしての言葉を伝え、他の信徒たちを教え導くといった特権を有しているが、王のごとき権威が行使されるのはあくまで同じ神を信仰する組織の中だけである。
つまり法王とはあくまでも宗派の中で「神の代弁者」であることを認められた者なのであり、ゆえに他の信徒と一線を画す存在として、宗教組織における最高権威を有しているのであるが、国政における最高の権力者としての「王」そのものを指すのではない。
とはいえ、古い時代の政においては卑弥呼や台与のように王と祭祀者を兼任するパターンや、王権を持つ兄弟の片方が祭祀者でもう片方が政治を行うというパターン、エジプト文明のファラオのように王こそ神の化身とするパターンもあった。
このように古代に遡るほど祭祀と統治は一体であり、そういった意味では祭祀を行う者=王と解釈できる場合もある。
だが現代においては神の言葉を代弁する祭祀者の役割と、国を治める為政者の役割がはっきりと分かれている。
よって古い時代では、神の意志を語る者をそのまま王として解釈できる場合もあるが、現代における法王が有する王としての権威は、宗教組織の中だけものという点には注意しておく必要があるのだ。
そこを留めておかないと、宗教組織の中の権威である「法王」と国の政務を行う「王」をごちゃ混ぜにしてしまう可能性がある、という点は留意しておきたい。
ゆえに「法王」という役職を現代の感覚で解釈するか、祭祀と政治が一体であった時代の感覚で解釈するかで、考察でもさらに意味や解釈が異なってくると言って良いかもしれない。
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※尚、「メルキゼデクが王であり祭祀者であった」情報の解釈については、「右ねじりベルト」氏からのアドバイスを参考にさせていただきました。ありがとうございました。
考察の最後にお礼を申し上げようと思いましたが、本稿が長くなるのでここで謝辞を述べさせていただくという形にいたしました。
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~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。
【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~02~
カバラと天使信仰は共に<天使>からもたらされた
伝承によるとカバラは預言者アブラハムが天使メルキゼデクから伝授された天界の秘密、あるいはモーセがトーラー(律法)に記しきれなかった部分を口伝としたものであるという。
カバラの成り立ちにおける実際の歴史と伝承の整合性はさておき、
カバラの伝説はダークソウルにおいて天使信仰が興った経緯と非常に似通っている。
カバラ
→アブラハムが天使メルキゼデクから伝授され、近代西洋魔術に大きく影響を与えた
天使信仰
→<天使>に見えたゲルトルードによる書付が源流となり、ロスリックを中心に広まり、
また天使信仰を由来とする奇跡(魔法)も生み出された
このように並べてみると、それぞれの成り立ちにおける類似性がより明らかとなる。
ちなみに「アブラハム」だけでなく「モーセ」もまた、十戒つまり神の言葉を賜った預言者である。
そして天使という存在から物語を受け取ったというゲルトルードもまた預言者と解釈することができ、信仰の成り立ちに預言者がいるという点も一致する。
また天使信仰は単に<天使>を崇拝するだけでなく、信仰による
奇跡(魔法)も生み出している。
天使の光柱のテキストより
「天使の娘」ゲルトルードの奇跡。
周囲に幾つもの光の柱を落とす
王妃の聖女であったゲルトルードは
彼女のいう天使に見え、その物語を知ったという
彼女は光と声を失い、だが物語を記し続けた
常人には理解できぬ、破綻した書付の山が
ロスリック天使信仰の源流となったのだ
また王子ロスリックが放ってくる魔法には<天使の光柱>そのままとはいかないまでも、同じ系統を匂わせるエフェクトがかかっている。
天使信仰はロスリックにおいて異端扱いされたこともあってか、奇跡の数自体は豊富というわけではないが、その信仰によって奇跡(魔法)を生み出しているという点においては、西洋魔術の根拠ともなったカバラとの共通点がここでも見出せると言える。
だがカバラの伝説と天使信仰が似通っているのは、これだけではない。
次に挙げるのが、カバラをもたらした天使メルキゼデクと法王サリヴァーンの類似性である。
正義と平和の天使メルキゼデク
先ほど述べたように、カバラの伝承と天使信仰の成り立ちには類似性がある。
筆者が最初に気付いたのはそれなのだが、他にも双方の伝承の源流となる天使の特徴にも、共通する部分があるので、そちらについても紹介しておきたい。
それらの情報もまた、筆者が天使信仰をもたらした<天使>がサリヴァーンなのではないかと考察する根拠なのである。
とすればカバラの伝承にある天使についてもまず述べておかねばなるまい。
伝説によるとアブラハムにカバラを教えたのは天使メルキゼデクであるとされる。
メルキゼデクは旧約聖書の伝承に登場するのだが、サレムの王としての登場人物である場合と、神に仕える天使として語られる場合がある。
簡単に言うとメルキゼデクは、旧約聖書においてエルサレムの王、
またはいと高き神に仕える祭司とされた人物で、キリスト教グノーシス派の聖書外典では平和と正義を司る天使として崇拝されていた。
聖書においてメルキゼデクは祭司としての権能を用いて、アブラハムに「いと高き神」の祝福を与えるというわけである。
つまりメルキゼデクはかつて王であり祭司でもあった。
そしてグノーシス派では天使として語られたという経緯があるのだ。
このようにメルキゼデクは伝承の中で、王・祭司・天使という属性を持たされた存在なのである。
そしてグノーシス派が語る天使としてのメルキゼデクは、正義と平和の天使となっている。
以上が天使メルキゼデクについての説明となるが、法王サリヴァーンが
<天使>であったとする場合、両者の共通点が面白いほどに益々浮かび上がってくるのである。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。
【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~01~
<天使>はダークソウル3で初登場した存在である。まず本編でテキストによる天使信仰への言及があり、その後リリースされたDLCにおいて、その姿がお披露目となった。
DLCにおける天使は、人に似た形の躰に羽が付いた、我々の世界でも馴染み深い「天使」に似た姿をしている。
とはいえ、天使についてわかっていることは極少ない。ロスリックから端を発した天使信仰は、結局のところどういった信仰であったのか、その詳しい概要については杳として知れない
また信仰の源流と思われる聖女ゲルトルードが見えた<天使>という存在が、DLCで遭遇する天使だったのかさえも判然としない。
さらに言えばフィールドに漂う、あれらの<天使>なる存在が何者だったのかさえわからない。
テキストによれば、天使信仰の発端となったのは、そのものずばり<天使>という存在である。
天使の光柱のテキストより
「天使の娘」ゲルトルードの奇跡
周囲に幾つもの光の柱を落とす
王妃の聖女であったゲルトルードは
彼女のいう天使に見え、その物語を知ったという
彼女は光と声を失い、だが物語を記し続けた
常人には理解できぬ、破綻した書付の由が
ロスリック天使信仰の源流となったのだ
であればこれらの謎を解くには、やはりゲルトルードが見えたという、<天使>が何者だったのかを突き止める必要があるだろう。
聖女の見えた<天使>の正体とは何だったのか……本稿ではこれを考察すると共に、これまで謎だった天使信仰の外縁に迫っていきたいと思う。
聖女ゲルトルートに見えた<天使>こそがサリヴァーンだった?
天使信仰とはロスリック王国の聖女ゲルトルードから興った宗教である。
さて、この考察は<天使>の正体に迫ろうとするものだが、はじめにその中心となる人物を挙げておきたい。
その人物とは法王サリヴァーンである。ダークソウル3における<天使>の正体は、未だ明かされないままだが、筆者はこのサリヴァーンこそが天使信仰の元となった<天使>だったのではないかと考える。
つまりは聖女ゲルトルートが見えた<天使>こそが、サリヴァーンだったというわけだ。
考察を始める前にこう言ってはナンだがこの<天使>とやら、考察するにはとても難儀な存在である。
シリーズ最終作となるダークソウル3で初登場したために、いきなり湧いて出てきた新要素に戸惑った灰諸兄姉も多かったことだろう。筆者もそのクチである。
天使についてより詳しく知る頼みの綱はDLCだったのだが、しかしDLCでは天使信仰とは何だったのか、結局詳しいことは語られずに終わった。
そんな中で<天使>の正体がサリヴァーンだったという根拠は、一体どこにあるというのか。
サリヴァーンが<天使>であったという根拠として筆者が見出したのが、一神教に連なる伝承である。
一神教には世界最大規模の宗派もあれば、使用される用語や伝承される信仰対象は同じでも、宗派によって様式や教義が異なる場合が多々ある。
さらに一神教からの迫害から身を守るためか、(一神教から見て)異端となる信仰が、一神教に融合し教義を被せる形で存続したケースもある。
よって一神教といっても、中身は非常に複雑極まりない内容となっているのであるが、それらの中に<天使>とサリヴァーンを結びつける論拠となりそうな情報を、いくつか見出すことができたのである。
それらの点々とした情報を線で繋いでいくと、<天使>の正体、そして
ロスリックに何が起こっていたのか、朧気ながらもその影が徐々に浮かび上がってきたのである。
事態はまた複雑な様相を帯びているが、<天使>に至るまでのか細い糸を1つ1つたぐっていくこととしよう。
メルキゼデクから見るサリヴァーンとの共通点と天使信仰の興り
次にサリヴァーンと<天使>が結びつくと思われる論拠は、カバラの成り立ちである。
いきなりカバラと言っても、あまり馴染みが無い読者も多いと思うのだが、カバラというのはユダヤ教の伝統に基づいた神秘思想であり、西洋魔術に最も影響与えているとされる思想・理論体系である。
ゲームや小説などの創作物における題材として引っ張りだこの
「生命樹(セフィロト)」は、宇宙の象徴図でありこのカバラから来ている。
カバラに馴染みがなくても、セフィロトならば聞いたことのある読者も多いのではないだろうか(少なくともこのブログに来る読者は)。
現代日本では創作の題材として用いられるほか、カバラ数秘術のように占術に応用されているパターンがポピュラーである。
この他にも西洋魔術だけでなく、密教や陰陽道にも通じるとされているが、話が逸れるのでそれらの情報に関しては割愛する。興味があれば調べてみてほしい。
実はこのカバラの知識は、天使からもたらされたものだという伝説がある。
~次回に続く~
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【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~20~
本編のテキストには何も語らぬニトの本心が隠されている?
ニトは長らく人間に枷を嵌めたことを後悔していたのではないか。
そう考える根拠はいくつかある。とはいえこれも筆者の憶測が多分に
入るので、それを前提で読んでいただきたい。
歌い手である彼女たちからはこのような証言が得られる。曰く、
「大いなる死者から歌を授かり、闇と死に囚われた者たちを慰めるために歌っている」
<神の枷>を嵌めていたのはニトであるが、人間たちの死を軽々しく思っていたわけではないことが見て取れる。
己の力で死に追いやった人間たちの魂を慰めることで、少しでも贖罪に繋げようとしていたのだろうか(無意味な行いかどうかはともかく)。
もしからするとニト自身が、<歌>というものに優しさや慰めを見出しており、その体験からこのような処置を講じたのかもしれない。
あともう一つだけ論拠を挙げたい。
墓王ニトがかつて不死の人間であり、激しい争奪戦の末に王のソウルを手にした不死の英雄でもあったことは繰り返し述べてきた。
だがニトは決して自らを<英雄>だと吹聴することもなければ、
充分に足る実績を持っていたのにも関わらず、誰も知らぬ小人を
押しのけて己が<人間の祖>であると粉飾することもなかった。
ニトの立場上、そうすることは充分に可能であったのにも関わらずである。
これが「見栄っ張りの嘘つき」な性質を持つグウィンであれば当然、
己を英雄化した武勇伝を世界中に流すくらいのことはしただろう。
それどころかニトは決して、自ら表に大きく出ることはなかった。
もしかすると人であったという出自から、神々に軽んじられていたかもしれない。
あるいは、人間たちに枷を嵌めている己を、神というきらきらしい称号で飾る気は無かったのかもしれない。
ダークソウルの物語には神々の中でおそらく唯一人、人から神となったニトが持つ、人間たちへの憐憫がそこここに漂っている。
筆者はそう強く思えてならないのである。
受け継がれる不死の意志
墓王ニト。その正体はかつて<はじまりの火>の試練を制し、王のソウルを手に入れた古き不死の英雄。そして人の輪から逸脱した孤独な神であった。
死という強大な力を持ちながら、それでもなお歴史の表へ出ず
沈黙を守り続けた神は、ついに何も語ることなく、
<火継ぎ>へと駆り出された不死の手で討伐される。
だがニトの中にあった人への<後悔><憐憫><哀しみ>、
人であった神のその意志は時を経て、どこかで芽吹いたのではないだろうか。
たとえば神々の真実を知って失望したエルドリッチは神喰らいとなり、人間を食い物にしていた神々を喰らうことで、ついに報復を成し遂げたのである。
不死は死なず。ゆえにその意志もまた朽ちることはない。魂の宿る器がたとえ志半ばで討たれようと、時の流れの中で、不死の意志は再び芽吹く。
ダークソウルの物語が繰り返される毎に、名も無き不死の英雄の
意志もまた、継承されていくのだろう。
誰にも語られぬ世界の片隅で、暗く、ひそやかに。
~了~
拙い考察ですが読んでくれてありがとうございました。
また、本記事を書くにあたって、以下のサイト様の考察・情報を参考にさせていただきました。改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
ダークソウル3 (DARK SOULS III) 神攻略wiki
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