ソウル照覧

ソウルシリーズと趣味の民俗学・歴史等を考察しているブログ

【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~04~

 

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王子ロスリックの蘇生術はカバラによるものだった?

筆者が天使信仰とカバラに注目する根拠はまだある。それは「蘇生」である。

 

周知の通り、ダークソウル3でも蘇生の魔法を使う人物がいる。

そう、ロスリックの国において「王」の資格を持って

生まれた王子ロスリックである。

 

王子ロスリックは灰と対峙するボスの一体であり、双王子の片割れとして登場する。

 

緒戦は兄王子ローリアンとの戦いになる。だがローリアンが倒れると、今度は弟のロスリックも参戦してくる。

 

彼が参戦することによって闘いの様相が大きく変化する。最たる特徴と言えるのが、先に兄王子が倒されると今度は弟が魔法で兄を蘇生させてくる点である。

 

まさかの蘇生魔法に多くの灰諸兄姉らが度肝を抜かれることになったわけだが、この蘇生を使ってくることにより、

この双王子はこれまでのシリーズの中でも、際立って異彩を放つボスとなっている。

 

そう、これまでのシリーズを振り返っても、表立って蘇生魔法を使ってくるボスというのは、この王子ロスリックだけなのである。

 

単なるアクションRPGならば、連作ではお約束の目新しいボスが生み出された程度の認識で終わるだろう。

 

だがこれはソウルシリーズの話である。この点からして新要素を単なる「飽きさせないための措置」だけの意味で捉えず、考察材料にすることもできる。

 

それについては例えば、<ロザリアの指>が挙げられる。<ロザリアの指>もダークソウル3から登場した誓約であったが、こちらも考察すればするほど、本編では明かされなかった裏の物語を見出すことができた。

  

sirius369.hatenablog.com

 

ここはフロム脳の疼きにまかせ、王子ロスリックの使用していた蘇生魔法にも、何かしらの意図が込められていたのだと、筆者は考察してみることにした。

 

すると、これまた天使信仰とカバラ、そしてサリヴァーンの影とロスリック国の影、それらがいかな由縁と形で繋がっていたのかが、だんだんと見えてきたのである。

 

カバラにも死者を蘇生させる秘術が存在した?

カバラと言えば数秘術や宇宙を象徴する生命の樹(セフィロト)が有名だが、実は蘇りの概念も存在する。

 

非常にマニアックな内容になるため、大幅に端折る形になるが、簡単に言うとゾーハル(光輝の書)を含めたカバラ神秘思想が収められているトーラー(五書)には、死者を蘇生させる秘術も記されているとのことである。

 

ただしトーラー(五書)は正しい配列になっていない。これを正すことができれば、トーラーを読んだだけで死者を蘇生させる奇跡を起こすことが可能になる。

(※カバラとその象徴的表現より)

 

 そのヒントとして在るのかはわからないが、かの生命の樹(セフィロト)にも復活の要素が組み込まれている。それが第六のセフィラ・ティファレトである。

 

<ティファレト:6>

ja.wikipedia.org

 

セフィロトにおける第六のセフィラ・ティファレトにはエジプト神話のオシリス、またはキリスト教ジーザス・クライストのように、復活する神や伝説的人物が対応する。

 

このようにカバラでは未だその詳細は明かされないまでも、蘇生の秘術が「存在」する可能性があると考えられる。

 

そしてもう一つ重要となるのが、カバラと天使は密接に関係しているという点である。

 

カバラの神秘を詰め込んだセフィロトを構成する「セフィラ」には、それぞれに対応した天使が設定されているほか、トーラーにも天使についての言及があるという。

 

先に述べたように、そもそもカバラ自体に天使から預言者に伝授されたという伝承があるので、カバラと天使は切っても切れない関係だと言える。

 

ちなみに死者蘇生の秘術と言えばブードゥー教のゾンビも挙げられる。

 

キリスト教との融合によって聖人崇拝も見られるようだが、元々は精霊信仰なのでキリスト教にいるような天使との関連は、おそらくカバラと天使ほど濃密ではないと判断したため、今回の考察ではブードゥーについては触れないことにした。

 

これらの情報から王子ロスリックの蘇生魔法のルーツには、カバラ思想が少なからず含まれているのではないかと筆者は考察している。

 

また「大書庫」の最奥にある双王子の部屋では、床にたくさんの白い羽が散らばっており、これも天使信仰を強烈に暗示させるような演出がされている。

 

そして先にも述べたように、カバラは天使メルキゼデクからもたらされたものであるが、天使信仰もまたゲルトルードが<天使>に見えたことが発端となっている。

 

こうしてみれば王子ロスリックが使う蘇りの秘術は、<天使>によってもたらされたのではないかと考察できると言える。

 

また、ロスリックの城にはなぜかサリヴァーンと思われる人物の石像が設置されているが、はっきりと名言されずとも彼らは物語の裏で関わりがあったろうことが朧気ながら察せられる。

 

可能性は色々あるが、たとえば<天使>の正体がサリヴァーンであるとするならば、王子に蘇りの秘術をもたらしたのはサリヴァーンではないか、と見ることもできる。

 

このように、カバラと天使メルキゼデクを元にして、サリヴァーンと天使信仰を考察していくと、面白いほどに点と点が繋がっていくのである。

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。