ソウル照覧

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【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~03~

 

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メルキゼデクとサリヴァーンは共に「罪を裁く」権能を持つ

「正義を司る権能」は世界の神話でもよく見られるが、こういった権能を持つ存在は多くの場合、人間の罪を計り、罪が重ければ裁きを与えるという共通項がある。

 

キリスト教では大天使ミカエルもまた、人間の魂を秤にかけるとされている。

 

さらに黙示録で予言された終末の日で、人々を天国に招くか、

反対に地獄へ叩き落とすかを判ずるのは、神ではなく天使なのである。

 

正義と平和の天使であるメルキゼデクもまた、「正義」を司る以上、

罪を裁く権能を持つと解釈できるわけだ。

 

そしてサリヴァーンであるが、彼もまた、「罪と裁き」に関連する特徴がある。

 

サリヴァーンとはアノール・ロンドで対峙することになるのだが、その際に彼は左右に装備した剣での二刀流を駆使してくる。

 

彼の両手に握られている剣の名は<裁きの大剣(左)><罪の大剣(右)>である。

 

先程も述べたように、神話伝承における「正義」の権能は罪に対し罰を与える力として表されることが多く、聖書の天使もまた人間を裁く存在である。

 

それではここで、法王サリヴァーンが天使信仰の伝承で語られる<天使>であったとする説を前提に、彼の主な特徴を挙げておこう。

 

さらに天使メルキゼデクの特徴も並べて両者を見比べてみると、面白いほどに似通っていることがわかる。

 

法王サリヴァーンと天使メルキゼデクの類似点 

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※画像クリックで拡大

メルキゼデクがもたらしたカバラは、現代でも西洋魔術の根拠として重要視されており、その点からメルキゼデクもまた魔術に深く関わる天使であると言える。

 

一方でサリヴァーンもまた現役の魔術師であり、ゲルトルードに天使信仰をもたらし、さらに天使関連の奇跡(魔法)を与えたという解釈が可能である。

 

そしてメルキゼデクは王であり祭司でもあった。メルキゼデク自体が人々を治める王なのだから、国内における最高位の宗教指導者と言って良い。

 

つまり「王であり祭司であった」とは法王とほぼ同義である。この点もサリヴァーンと一致する。

 

さらにメルキゼデクは正義を司る天使でもある。

対してサリヴァーンは背中から黒い翼を生やすほか、その両手に<裁きの大剣>と<罪の大剣>を持ち、これまた我々の世界でお馴染みとなっている

『正義の天使が持つ「正義の権能」と共通するアイテム』を所持している。

 

これらの点から、天使メルキゼデクは天使信仰のモチーフであったと同時に、天使の正体はサリヴァーンなのではないかと思うに至ったのである。

 

「法王」とは支配者としての「王」を意味する役職ではない

ここで一つ「法王(教皇)」という役職について述べておきたいことがある。

 

「法王」の呼称には「王」と付いているが、現代において法王とは国を統治する王として君臨しているのではない。

 

より具体的に言うと、我々が知る現代の法王もまた「神の教え」を学ぶ途上にいる者であり、言うなれば「信徒」の一人に過ぎず、神そのものでも無ければ同列でもない。さらに言えば一国の主でもない。

 

では「法王」とは何なのかというと、一宗派における最高権威者、または宗派を代表する者としての称号なのである。

 

要はその宗派において一番の権力を有するのが「法王」という役職なのである。

 

法王たちは「神」の代わりに信徒たちへ神の教えとしての言葉を伝え、他の信徒たちを教え導くといった特権を有しているが、王のごとき権威が行使されるのはあくまで同じ神を信仰する組織の中だけである。

 

つまり法王とはあくまでも宗派の中で「神の代弁者」であることを認められた者なのであり、ゆえに他の信徒と一線を画す存在として、宗教組織における最高権威を有しているのであるが、国政における最高の権力者としての「王」そのものを指すのではない。

 

とはいえ、古い時代の政においては卑弥呼や台与のように王と祭祀者を兼任するパターンや、王権を持つ兄弟の片方が祭祀者でもう片方が政治を行うというパターン、エジプト文明のファラオのように王こそ神の化身とするパターンもあった。

 

このように古代に遡るほど祭祀と統治は一体であり、そういった意味では祭祀を行う者=王と解釈できる場合もある。

 

だが現代においては神の言葉を代弁する祭祀者の役割と、国を治める為政者の役割がはっきりと分かれている。

 

よって古い時代では、神の意志を語る者をそのまま王として解釈できる場合もあるが、現代における法王が有する王としての権威は、宗教組織の中だけものという点には注意しておく必要があるのだ。

 

そこを留めておかないと、宗教組織の中の権威である「法王」と国の政務を行う「王」をごちゃ混ぜにしてしまう可能性がある、という点は留意しておきたい。 

 

ゆえに「法王」という役職を現代の感覚で解釈するか、祭祀と政治が一体であった時代の感覚で解釈するかで、考察でもさらに意味や解釈が異なってくると言って良いかもしれない。

 

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※尚、「メルキゼデクが王であり祭祀者であった」情報の解釈については、「右ねじりベルト」氏からのアドバイスを参考にさせていただきました。ありがとうございました。 

 

考察の最後にお礼を申し上げようと思いましたが、本稿が長くなるのでここで謝辞を述べさせていただくという形にいたしました。

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~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。