【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~09~
残る天使候補(天使像)についての考察
さて<天使>の正体を考察するにおいて外せないのが、天使像ついての考察である。
ロスリック国には複数の箇所に天使を象った像が配置されている。
これを見るに天使信仰は思った以上にロスリック国内で影響を及ぼしていたと思われる、
筆者は法王サリヴァーンを<天使>と見たが、そうなるとこれらの像は何だったのかとなる。
いくら<天使>の正体を見定め考察ができたとしても、<天使>を象ったと思われるこれらの像は、明らかに天使信仰を意識しているようにも見えるので完全に無視するわけにもいかない。
よって、天使候補と思われる像についての考察も述べていこうと思う次第である。
ただ、ロスリックに存在する天使に似た彫刻全てに言及するわけではない。その点を留意した上で読み進めていただきたい。
王冠を被った壮年男性の天使像
まず天使候補と思われる像として取り上げるのが、双王子が籠もる部屋の前に配置されている王冠を被った天使像である。
双王子とはシナリオ上必ず対決することになるので、王冠を被った天使のような像は多くの灰諸兄姉らの目にも焼き付いていることだろう。
我々の世界で言えばこの像は「天使を象った像」で間違いない。
だがこれはダークソウル世界における文化思想の産物であり、この像の由来が我々の世界における文化思想と全く同じであると言い切ることはできない。
何が言いたいのかというと、<天使>の考察でも述べたように、蛹から召喚される<吹き溜まりの天使>の姿が、天使信仰の物語から来ているのだとすれば、この像は必ずしも信仰対象の<天使>そのものとは言い切れない可能性もあるということだ。
まず筆者の結論を述べるとこの像のモデルは、かつてのオスロエス王ではないかと見ている。
その論拠としてまず挙げられるのが天使像の男性が被る「王冠」である。
双王子というネーミング、そしてロスリック国関連のテキストでは王子たちの他、「王」や「王妃」という文言が見受けられることからも、ロスリック国は王を頂点に戴く君主制の国であると思われる。
そして君主制の国ならばそれは王国である。王国において王冠を頭上に戴く資格を持つのはただ1人、国王のみである。
とすればロスリック国内において、王冠を戴く像として表されるのはオスロエス王しかいない、というわけである。
王冠を被った天使像のモデルがオスロエス王であると述べる、もう一つの論拠として挙げるのが背中の翼である。
ここで思い出していただきたいのが、灰が妖王と化したオスロエスと対峙するときの姿である。
オスロエスは白竜の異端に触れた結果、竜のような姿に変じているのであるが、よく見るとその背中には羽がある。
思うにオスロエスは竜に変じる前、あの「王冠を被った天使像」に近い姿をしていたのではあるまいか。
ちなみに妖王オスロエスは左手で常に何かを抱えているようなポーズを取っているのだが、「王冠を被った天使像」も同じポーズを取っている。
あるいは王が天使信仰を推奨していることを意味するものとして、あのようなデザインが採用されたのではないかと筆者は考えている。
さらに言えば、オスロエスをはじめとしたロスリック王家自体が<天使>を信仰していた可能性がある。
ロスリック国において天使信仰は異端とされていたというが、それにしては天使を連想させるオブジェクトが国内のあちこちに散見される。
特にロスリックの城内、王族である双王子の部屋の入り口には「王冠を被った天使像」があり、さらに部屋の入り口を裏から見ると、扉の上には天使が王冠を授けているようなレリーフもある。
また、王妃の実子であるという聖女ゲルトルードが関連するフィールドには羽騎士が配置されている他、白い羽が散らばっている。
ここで突然ではあるが、比較対象として同じく異端扱いを受けているベルカ信仰を挙げておきたい。
白教から異端とされているベルカ信仰は、本編中その信仰に関する象徴物はほとんど残されておらず、絵画世界にやっとその名残りを見出せる程度である。
絵画世界の外にもベルカであると思われる罪の女神を象った像は存在するが、不死街の洞窟のような場所 (ダークソウル3・恥部隠しが落ちている場所)に、まるで隠すかのように安置されているくらいである。
不死はダークソウル1の頃より白教から疎まれる存在であり、その不死たちから頼みにされたのが、これまた白教から異端扱いされた女神ベルカであったという背景が透けて見える。
白教が女神ベルカを異端と指差し、そして信者から女神が隠されていたとするならば、
白教からの弾圧のために堂々と礼拝できなかったであろうことは想像に難くない。
ために異端扱いされた不死の信仰対象である女神像は、人目につかぬよう祀られていたというわけだ。
これを見ていると、天使信仰が国内で異端とされ弾圧対象とされているにしては、いやに堂々としすぎていると感じはしないだろうか。
天使信仰が信奉されていた名残りがロスリック内の至る所で見られるのは、ロスリック王家によって天使信仰が推奨・庇護されていた時代があったからではないだろうか。
むしろそう考えると、王族の近くに天使との関連を匂わせるオブジェクトが配置されている訳にも納得がいく。
ましてや「王冠を被った王のような天使像」や「空から王冠を授ける天使のレリーフ」を王族(双王子)の部屋の前に配置するなど、王家が天使信仰に染まっていたのでもなければ実現できる可能性は恐ろしく低いのではないか。
これらの仮説を前提にすると双王子の部屋の前に王冠の天使像が配置されていること、部屋の中に羽が散らばっていること、王子ロスリックが空中を舞う天使と似たエフェクトの奇跡を駆使してくることなど、それら全ての謎にも説明を付けることができる。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。
【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~08~
※<吹き溜まりの天使>は樹樹のような見た目をしている(2・3) の続き
樹を思わせる<吹き溜まりの天使>の姿は天使信仰の物語によるものだった?
ここで一旦、<吹き溜まりの天使>が召喚されるカラクリについて整理しておきたい。
先程述べたように、<蛹>は<蓋かぶりの巡礼者>から生ずる、言わば成れの果てのような存在である。
そして<蓋かぶりの巡礼者>が宗教者であり、それから生じた<蛹>が<天使>の似姿と思われる<吹き溜まりの天使>を喚ぶのであれば、<蓋かぶりの巡礼者>が信仰する対象は<天使>である可能性が高い。
そして天使信仰は、聖女ゲルトルードが天使から伝えられた物語によって興った信仰である。
また、ダークソウルの世界において神の物語は奇跡(魔法)を起こす要となる。
これらの情報を繋げていくと、<蛹>がどうやって天使を召喚しているかの仕組みも推理できるようになる。
つまりダークソウル世界の奇跡(魔法)の仕組みから考察すると、天使信仰による物語もまた奇跡(魔法)の効果を発揮する要素となりえる、ということだ。
このことから<吹き溜まりの天使>を召喚する<蛹>の能力も、<天使>の物語から成る信仰心が由来となっている可能性が見えてくるのである。
ここまでが筆者が考察する<吹き溜まりの天使>が召喚されるカラクリとなるわけだが、実のところ本題はここからである。
<蛹>がひたすらに召喚し続ける<吹き溜まりの天使>は、なぜ樹木を想起させるような姿をしているのだろうか。
先より述べてきた<吹き溜まりの天使>が召喚されるカラクリから、
筆者は<吹き溜まりの天使>があのような姿形をしている原因は、
天使信仰の中で語られる物語にあると考える。
つまり、天使信仰の中で語られる天使は、樹の枝のような羽を持っているのではあるまいか。
我々の世界における「一般的な天使」のように、ただ羽が付いた人の姿をしているのであれば、<吹き溜まりの天使>の羽も羽毛のようになっている可能性が高いだろう。
だが実際のところ、<吹き溜まりの天使>の羽は羽毛ではなく、なぜか樹の枝のような見た目である。
これは天使信仰における<天使>の特徴が、そのように語られていたからこそではないか、ということだ。
より具体的に言うと、物語(神話)を学ぶことによって発動する奇跡(魔法)の仕組みから、<吹き溜まりの天使>は奇跡によって召喚(発動)された産物であり、樹木のような羽となっているのは、ゲルトルードによる物語(書き付け)に記されていたからではないかということだ。
以前述べたグウィンの正体に関する考察で述べたように、ダークソウル世界における神話とは、魔法の要であると同時に信仰心による強力な暗示効果も期待できる代物である。
逆算すれば物語を読むことによって奇跡の効果を想起させるからこそ、奇跡は効果を伴って発動するのだ。
その点をこれまで述べてきた<吹き溜まりの天使>が召喚される条件に当てはめれば、<吹き溜まりの天使>の羽が羽毛ではなく樹木のようになっている理由を明らかにすることができる。
奇跡が発動する条件
神の物語を学び、物語に登場する神を信じることで発動する。信仰心が強いほど強力な効果を得られる。つまり物語に記述された内容から奇跡を発動させている。
<吹き溜まりの天使>の姿が樹木に似ている理由(考察)
・天使を信仰する巡礼者から生じた蛹が<吹き溜まりの天使>を召喚する。
→天使信仰はゲルトルードが記述した書き付けが源流となっている。
・信者たちはゲルトルードの書き付けの内容から<天使>を想起している。
・<蛹>が喚ぶ<吹き溜まりの天使>は書き付けに書かれた<天使>の姿を元にしている。
→つまりゲルトルードの書き付けに記述された<天使>の特徴は樹木に似た特徴を有していると考えられる。
このように考えれば、<蛹>たちが召喚する<吹き溜まりの天使>が、なぜ皆一様に樹の枝のような羽を生やしているのかという点も説明することができる。
ダークソウル世界における奇跡が誰が使っても効果に違いが無いのと同様に、
天使信仰の<天使>像も、源流となる神話(ゲルトルードの書き付け)によって
統一されているというわけだ。
樹の枝のような羽を持つ天使……それこそが天使信仰における教義の天使であり、聖女ゲルトルードに物語を伝えた<天使>の姿として伝承されていたと考えられるのである。
そしてこの点こそが、サリヴァーンが<天使>であると示唆する大きなヒントだったのではないだろうか。
天使を信仰する<蓋かぶりの巡礼者>たちへ伝承された物語によって、<蛹>たちが「樹の枝のような羽を持つ天使の姿を思い描いている」のであれば、数ある候補の中でその条件に最も合致するのは、やはり樹木のような羽根を生やすサリヴァーンしかいない。
灰(プレイヤー)を視認すると空中から光の矢を連射してくる(4)
先にも述べたが、筆者は王子ロスリック(あるいは双王子)が天使信仰に由来する奇跡を習得していたのではないかと考えている。
そもそも王子ロスリックが放ってくる魔法や、灰が習得できる天使信仰が由来となっている奇跡には、光のほかに羽が舞うエフェクトが付いているほか、ビームのような遠距離攻撃といった共通点がある。
そして<吹き溜まりの天使>もまた、天使の物語から来る奇跡の産物であるとするならば、光の矢を放つといった技を使ってきてもそう違和感は無いと言える。
あるいは同じ系統の奇跡による存在だからこそ、<吹き溜まりの天使>は上記で記したような特徴を持つ技を使ってくるのではないかとも考えられるだろう。
さらに<吹き溜まりの天使>の外見は樹木に似たものとなっており、サリヴァーンもまた樹木に似た羽を持つ。
そしてサリヴァーンは魔術師である。もしゲルトルードに見えた際に伝えた天使の物語が、そのまま奇跡のスクロールとなる代物だったとすれば、それはまさしく魔法の仕組みに造詣が深い魔術師によるお膳立てだったのではないかと考えることもできるのである。
以上の考察から、<天使>の正体こそが法王サリヴァーンではないかという疑念が、筆者の中で大きく膨らんでいったというわけである。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。
【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~07~
<吹き溜まりの天使>は樹木のような見た目をしている (2・3)
本稿において天使の正体はサリヴァーンではないかと考察している。
だが、ロスリック城にはサリヴァーン像(?)と思われるものの他にも、<天使>の候補と成り得る像がいくつか存在する。
最も知名度が高いのは、世界蛇に羽がついた像だろう。羽自体が<天使>に
繋がる手がかりと考察することができるし、世界蛇自体がシリーズを通して、
物語に深く関わってくる存在であるため、こちらも充分<天使>候補に足る存在だと言える。
また双王子の部屋の前にも、王冠を被り羽を生やした男性の<天使>を象っていると
思しき像があるなど、ロスリック城のあちこちに、<天使>を思わせるモチーフが散らばっている。
その中で、<蛹>が召喚する<吹き溜まりの天使>は飛び抜けて異質であると言える。
<吹き溜まりの天使>は一見、羽が生えた人の形をしているが、よく見るとその羽は白色ではあるが羽毛ではなく、木の枝あるいは根っこを思わせる質感をしている。
外見上で言えば、間違いなく羽が生えた世界蛇にも負けないインパクトを持っていると言えるが、この点に今一度注目していただきたい。
実のところ<吹き溜まりの天使>の他に、「木の枝か根っこに似た羽」を
背中から生やす存在がただ1人だけいる。法王サリヴァーンである。
多くの灰の諸兄姉らがご存知のように、法王サリヴァーンは体力が減ると、背中から黒い羽を生やし第2形態へと移行する。
この際にサリヴァーンが生やす羽のディテールに注目していただきたい。
羽と言っても、よく見るとまるで無数の木の枝か根っこの集合体を思わせる見た目である。
そう、サリヴァーンの羽はまるで<蛹>によって際限なく喚び出される<天使>と、同じような特徴を有しているのである。
前述したとおり<天使>の候補としては、これまで世界蛇の天使像や王冠を被った男性像、そしてロスリック内に像が建設されたサリヴァーンが挙げられる。
しかしその中でロスリックの政情に深く関わっていた可能性を持ち、且つ樹の根や枝のような羽を持つ人物としてはっきりと描かれている存在は、ダークソウル3の本編中においてサリヴァーンのみである。
もちろん、それだけで<天使>の正体がサリヴァーンであると言い切るつもりはない。
何せロスリックのフィールドには像の他にも、我こそは天使!と言わんばかりに、<天使>を想起させるオブジェクトが様々に配置されているのだ。
この内のどれかが天使を示すものに違いないと筆者も考えてはいる。いかにもそれらしきものを並べ、さあてわかるかな?と仕掛けている開発側の声が聞こえてくるようだ。
フィールドに配置された複数の候補の中から<天使>を見出さねばならないとすれば、それにはやはり最大のヒントであろう<吹き溜まりの天使>をもっと掘り下げていく必要があると言える。
むしろ話はここからだ。なぜサリヴァーンと<吹き溜まりの天使>の羽の共通点が
それほど重要であるのか。その点をこれからさらに詳しく述べていく。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。
【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~06~
倒しても何度も復活する。蛹を倒すと完全に消滅する(1・続き)
<吹き溜まりの天使>は奇跡(魔法)の産物だった!?
少々話が逸れるがここで「巡礼者」の意義について、改めて確認しておきたい。
そも巡礼とは簡単に言うと、信仰する宗教の聖地と定められた場所へ参拝する行為である。
巡礼者とは、文字通り聖地を参拝する者のことである。つまり巡礼は何らかの信仰を持っていることを前提に行うのである。
そしてここで登場するのが<蓋かぶりの巡礼者>である。巡礼者というからには、
もちろん彼らも何らかの信仰を持っている信徒ということになるだろう。
さらに言えば、<吹き溜まりの天使>を喚ぶ<蛹>という存在は、<蓋かぶりの巡礼者>を苗床にして生じる存在である。
ならば、<蓋かぶりの巡礼者>が信仰するのは<天使>であると推察できる。
彼らがひたすらに<吹き溜まりの天使>を喚ぶのは、おそらく<天使>の降臨、
あるいはそのものになることを願っているのだと思われる。
であればだ……やはり蘇生の力は、天使信仰が由来であると言えはしまいか。
そう考えると<蛹>がなぜ<吹き溜まりの天使>を喚ぶことができるのかが、自ずと明白になってくる。
一旦整理してみよう。<蓋かぶりの巡礼者>は信仰心を以て聖地を巡る言わば信徒である。
<吹き溜まりの天使>は<蛹>によって召喚されるのであり、
<蛹>は<蓋かぶりの巡礼者>を苗床にして生まれる。
これらの情報を元に<吹き溜まりの天使>が発生するまでのプロセスを整理してみると、以下のようになる。
<吹き溜まりの天使>が発生するまでのプロセス
<蓋かぶりの巡礼者>
※信仰心を以て各地を巡礼している
↓
<蛹>
※巡礼者を苗床にして発生する
↓
<吹き溜まりの天使>
※<蛹>によって召喚される
このプロセスから、<吹き溜まりの天使>は信仰心を持つ巡礼者によって生み出されるということがわかる。
そしてこれからの情報によって、もう一つの回答を導くことができる。
というのも<吹き溜まりの天使>が発生するプロセスにおいて、最大の要点となっているのが巡礼者、すなわち信仰心を持つ者から<吹き溜まりの天使>が発生しているという点である。
強い信仰心によって摩訶不思議な現象が引き起こされるという現象、ダークソウルを知っている者ならばどこかで聞いたことがあると思うのではないだろうか。
お察しの通り、<吹き溜まりの天使>が召喚されるまでの過程は、
信仰心によって身を護る、あるいは攻撃の手段に用いることが
できる魔法の一種<奇跡>を起こすまでのプロセスと全く同じなのである。
ダークソウルにおいて奇跡という魔法は神話を学び、そこに登場する神的な存在を信仰することによって発動するという仕組みになっている。
奇跡(魔法)が発動するまでのプロセス
1・神の物語を学び(読み)、神を信仰する
↓
2・信仰心によって奇跡を発動する
※神への信仰心が高いほど、奇跡の威力が増す
神話とは伝説であり、ずばり神の物語にほかならない。ゲルトルードが天使からもたらされた物語が信仰の対象になるのであれば、それはまさに奇跡を起こす代物となる。
そしてもう一つ、奇跡を使うには信仰心が必要となる点も、重要なポイントとなる。
なぜ<吹き溜まりの天使>は<蛹>によって喚ばれるのか、言い換えれば
なぜ<蛹>からしか生まれないのか。
その理由も<蛹>の元となるのが<蓋かぶりの巡礼者>で、彼らは天使信仰の信徒であった……ためにその信仰心による奇跡(魔法)から<吹き溜まりの天使>が召喚されていた。
このように考えるとつまるところ<吹き溜まりの天使>とは、天使への信仰を持つ<蓋かぶりの巡礼者>を苗床にした<蛹>によって発動する奇跡の産物だった、ということがわかるのである。
ここまで書いてきた筆者本人でさえ、あの空を漂う天使のようなものが奇跡の産物だったなどという回答は意外という他無かった。
しかし<吹き溜まりの天使>が発生する条件に先ほど述べた<奇跡>が発動するまでのプロセスを当てはめてみると、以下のようにピッタリ一致するのである。
<吹き溜まりの天使>は天使を信仰する<蓋かぶりの巡礼者>→<蛹>によって発動した奇跡(?)
※<蓋かぶりの巡礼者>→<蛹>となって<吹き溜まりの天使>を喚ぶ
逆算すると<蓋かぶりの巡礼者>は天使を信仰していたと考えられる
このように奇跡を発動するまでのプロセスと、<吹き溜まりの天使>が発生するプロセスを改めて紐解きまとめていくと、両者の発動・発生する条件が極めて似通っていることにお気づきいただけると思う。
筆者とて考察するにおいては、あまりにも突飛なことを言うつもりは毛頭ない。
だが情報を改めていくにつれ、奇跡が発動する条件と<吹き溜まりの天使>が発生する条件が、ここまで共通しているという事実に気付いた以上、<天使>の正体を考察するにおいて、無視することはできなくなったのである。
少なくとも なぜ<蛹>が<吹き溜まりの天使>を召喚し続けるのか、という謎については
<蛹>の元となる<蓋被りの巡礼者>が天使信仰の信徒であり、それらが発動する奇跡として<吹き溜まりの天使>が召喚されていたと考えてみると、全ての辻褄が合うのである。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。
【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~05~
<吹き溜まりの天使>こそが<天使>の正体を示すヒントだった
ここまではカバラに関する共通点から、サリヴァーンが天使信仰をもたらした<天使>である可能性を明示してきたが、それではダークソウル本編において、サリヴァーンが<天使>と言える根拠はあるのだろうか。
<天使>の正体に迫るには、無論、本編に登場する「天使」のことを知らねばなるまい。
なぜなら、我々の前に明示されている<吹き溜まりの天使>のみが、今ところ<天使>について知ることができる確かな情報だからである。
ややこしいので本考察では、ゲルトルードが見えた天使を<天使>、DLCのフィールドで遭遇する天使を<吹き溜まりの天使>と表記していく。
先程の「天使を知らねばなるまい」と表記した際の天使は、<吹き溜まりの天使>のことを指すということを踏まえ、以降の考察を読み進めていただきたい。
さて、この<吹き溜まりの天使>は翼が生えていて空中に漂っており、
見た目・特徴ともに我々のよく知る、一神教の伝承に登場する天使と似通った特徴を持っている。
だがこの<吹き溜まりの天使>は、一般に広まっている天使とは
異なる特徴も複数備えている。
- 倒しても何度も復活する。蛹を倒すと完全に消滅する。
- よく見ると翼は羽毛ではなく木の根を思わせる外観をしている
- 躰部分も人型ではあるが、植物に似た見た目をしている
- 灰(プレイヤー)を視認すると空中から光の矢を連射してくる
<吹き溜まりの天使>が持つ主な特徴はこのようになる。これだけでもだいぶ一般的な天使像と異なるが、
逆に言えばこの差異こそが、大きなヒントになっていると筆者は考えるのである。
単なる神の使いの天使として登場させるのであれば、ここまでの違いを持たせる必要など無いのではないか。それこそ、「蛹」という要素などまるで不要になる。
そう考えると<吹き溜まりの天使>が持つ翼や躰が、植物に似た見た目をしているのにも、何か意味があるように思えてくる。
ではこれらの<吹き溜まりの天使>が有している独自の特徴から、1つずつ<天使>の考察をしていってみようではないか。
倒しても何度も復活する。蛹を倒すと完全に消滅する(1)
<吹き溜まりの天使>を攻撃することは可能だが、何度でも復活してくる。
これを完全に停止させるには、<蛹>を倒す必要がある。
初見では間違えることもあるが、<吹き溜まりの天使>の本体は<蛹>の方であり、こちらを倒すことで天使の方も消滅する。
そう、<吹き溜まりの天使>は<蛹>の召喚物であることが、ここでわかるのである。
ところでこの構図、どこかで見覚えがないだろうか。片割れが倒されても、それのもう片方が片割れを復活させる……そう、ロスリック国で対峙する双王子らも、同じ戦法を取っているのである。
- 復活する側→<吹き溜まりの天使>・兄王子ローリアン
- 復活させる側→<蛹>・王子ロスリック
蛹が用いる<吹き溜まりの天使>を復活させる能力は、
そのまま王子ロスリックの使う蘇生術にピッタリと該当するというわけである。
これが他のRPGであれば、とりわけ気にする必要のない要素と言えるだろう。
蘇生術は主人公あるいはその仲間が必ず持っているスキルである。
だがダークソウル3では蘇生術を駆使してくる敵は、王子ロスリックと蛹だけである。
もちろん、ただの仕様上における共通点として片付けてしまうことはできる。
だがこの点にフォーカスすると、意外な推理が飛び出してくるのである。
先程述べたように王子ロスリックは蘇生をはじめ、天使と無関係とは
思えない点がいくつかあり、蛹などは<吹き溜まりの天使>を復活させられる能力まで備えている。
問題はこれらの特徴が、まさしくピンポイントで<天使>というキーワードと関連しているという点である。
これだけ関連性を匂わせる情報が揃っているところから、全て偶然とは思うのはむしろ困難である。
そして、蘇生術という共通性から見るに、王子ロスリックは天使あるいはゲルトルードが伝えた天使の物語から、蘇生効果を持つ奇跡を習得していた可能性が見出せる。
一方でフィールドに配置された敵の中で蘇生術を使うのは<吹き溜まりの天使>を喚ぶ<蛹>だけである。
そして公式からの説明によると、<蛹>は巡礼者の死体を苗床に生じる存在であるという。
「巡礼の蛹と呼ばれる人に似た生き物
蓋かぶりの巡礼者、その死体を苗床に生じ、赤い空に天使を見出すという」
この<蛹>という存在が、<吹き溜まりの天使>を召喚するというのであれば、苗床となる<蓋かぶりの巡礼者>と天使信仰の<天使>も無関係ではあるまい。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。