【ダークソウル考察】天使の正体はサリヴァーンだったかもしれない説~05~
<吹き溜まりの天使>こそが<天使>の正体を示すヒントだった
ここまではカバラに関する共通点から、サリヴァーンが天使信仰をもたらした<天使>である可能性を明示してきたが、それではダークソウル本編において、サリヴァーンが<天使>と言える根拠はあるのだろうか。
<天使>の正体に迫るには、無論、本編に登場する「天使」のことを知らねばなるまい。
なぜなら、我々の前に明示されている<吹き溜まりの天使>のみが、今ところ<天使>について知ることができる確かな情報だからである。
ややこしいので本考察では、ゲルトルードが見えた天使を<天使>、DLCのフィールドで遭遇する天使を<吹き溜まりの天使>と表記していく。
先程の「天使を知らねばなるまい」と表記した際の天使は、<吹き溜まりの天使>のことを指すということを踏まえ、以降の考察を読み進めていただきたい。
さて、この<吹き溜まりの天使>は翼が生えていて空中に漂っており、
見た目・特徴ともに我々のよく知る、一神教の伝承に登場する天使と似通った特徴を持っている。
だがこの<吹き溜まりの天使>は、一般に広まっている天使とは
異なる特徴も複数備えている。
- 倒しても何度も復活する。蛹を倒すと完全に消滅する。
- よく見ると翼は羽毛ではなく木の根を思わせる外観をしている
- 躰部分も人型ではあるが、植物に似た見た目をしている
- 灰(プレイヤー)を視認すると空中から光の矢を連射してくる
<吹き溜まりの天使>が持つ主な特徴はこのようになる。これだけでもだいぶ一般的な天使像と異なるが、
逆に言えばこの差異こそが、大きなヒントになっていると筆者は考えるのである。
単なる神の使いの天使として登場させるのであれば、ここまでの違いを持たせる必要など無いのではないか。それこそ、「蛹」という要素などまるで不要になる。
そう考えると<吹き溜まりの天使>が持つ翼や躰が、植物に似た見た目をしているのにも、何か意味があるように思えてくる。
ではこれらの<吹き溜まりの天使>が有している独自の特徴から、1つずつ<天使>の考察をしていってみようではないか。
倒しても何度も復活する。蛹を倒すと完全に消滅する(1)
<吹き溜まりの天使>を攻撃することは可能だが、何度でも復活してくる。
これを完全に停止させるには、<蛹>を倒す必要がある。
初見では間違えることもあるが、<吹き溜まりの天使>の本体は<蛹>の方であり、こちらを倒すことで天使の方も消滅する。
そう、<吹き溜まりの天使>は<蛹>の召喚物であることが、ここでわかるのである。
ところでこの構図、どこかで見覚えがないだろうか。片割れが倒されても、それのもう片方が片割れを復活させる……そう、ロスリック国で対峙する双王子らも、同じ戦法を取っているのである。
- 復活する側→<吹き溜まりの天使>・兄王子ローリアン
- 復活させる側→<蛹>・王子ロスリック
蛹が用いる<吹き溜まりの天使>を復活させる能力は、
そのまま王子ロスリックの使う蘇生術にピッタリと該当するというわけである。
これが他のRPGであれば、とりわけ気にする必要のない要素と言えるだろう。
蘇生術は主人公あるいはその仲間が必ず持っているスキルである。
だがダークソウル3では蘇生術を駆使してくる敵は、王子ロスリックと蛹だけである。
もちろん、ただの仕様上における共通点として片付けてしまうことはできる。
だがこの点にフォーカスすると、意外な推理が飛び出してくるのである。
先程述べたように王子ロスリックは蘇生をはじめ、天使と無関係とは
思えない点がいくつかあり、蛹などは<吹き溜まりの天使>を復活させられる能力まで備えている。
問題はこれらの特徴が、まさしくピンポイントで<天使>というキーワードと関連しているという点である。
これだけ関連性を匂わせる情報が揃っているところから、全て偶然とは思うのはむしろ困難である。
そして、蘇生術という共通性から見るに、王子ロスリックは天使あるいはゲルトルードが伝えた天使の物語から、蘇生効果を持つ奇跡を習得していた可能性が見出せる。
一方でフィールドに配置された敵の中で蘇生術を使うのは<吹き溜まりの天使>を喚ぶ<蛹>だけである。
そして公式からの説明によると、<蛹>は巡礼者の死体を苗床に生じる存在であるという。
「巡礼の蛹と呼ばれる人に似た生き物
蓋かぶりの巡礼者、その死体を苗床に生じ、赤い空に天使を見出すという」
この<蛹>という存在が、<吹き溜まりの天使>を召喚するというのであれば、苗床となる<蓋かぶりの巡礼者>と天使信仰の<天使>も無関係ではあるまい。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。