ソウル照覧

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【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~15~

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火が陰ったとき、墓王ニトの反逆が始まった

火の時代は太陽の光の王グウィンを筆頭とした、神々の時代であった。

 

そしてそれは人間たちが<神の枷>を嵌められ、王族である神々に支配される時代でもある。

 

すなわち火の時代では人間である限り、未来永劫決して神々の足元から抜け出すことはできないのだ。

 

神々は人間たちに真実を隠したまま、数百年あるいは数千年の間、自分たちが犠牲になることはなく人間を薪(人柱)にして、火の時代を継続してきた。

 

そんな神々の様を元人間のニトは、どのような感情で見ていただろうか。

 

人でありながら長き苦難と多くの死を越え、<薪の王>への道を歩んできた不死の身になってみれば、神々の欺瞞はやはり受け入れ難いのではないだろうか。

 

現に<火継ぎ>の真実を知った不死諸兄姉の中には、当然として神への怒りを覚えた方もいただろう。

 

ニトが神々をどう思っていたのか、もはや憶測でしか語れない。

 

ただニトが元人間であったこと、彼もまた古き時代の<不死の英雄>であったこと、そして不死たちの歩みがニトの歩みをなぞったものであったならば、やはり神々が人間たちを食い物にしていることを、面白く思っていなかった可能性はあると筆者は見ている。

 

火継ぎの正体を知った際に多くの不死諸兄姉らも、神々の後ろめたい

秘密について思うところはあったろうから、 全く有り得ない話ではないと理解していただけると思う。

 

 世界の理に従いニトは人を死の運命から解放した

たとえばダークソウル3においてニトとよく似た特徴を持ち、玉座を捨てたエルドリッチもまた、我々と同じ思いを抱いたであろうことは容易に想像できる。

 

シリーズを通しての不死の英雄たち、そしてエルドリッチとニトを重ねることができるのであれば、ニトの感情を少しは窺うことができるのではないかと筆者は考える。

 

もしニトがグウィンとの協定を破り、神々に対して自ら反旗を翻したのであれば、その理由は人間に抱いていた後悔と憐憫の感情がそうさせたのではないかと思うのである。

 

そして火が陰ったとき、ニトはついに人間を枷で縛ることをやめたのではないだろうか。

 

グウィンによる火の時代の根幹は「はじまりの火」によって支えられていた。しかし「はじまりの火」は移り行く五行の流れ……あるいは世界の理に従い、陰りを見せ始めた。

 

これは同時にグウィンの支配が終わることを意味していた。

 

もはや「はじまりの火」が消えることは誰にも止められない。誰が何をしようと、どうすることもできない大いなる流れなのである。

 

こうなればもはや人間が神々に支配される理も消滅する。なればこそニトにはもうグウィンに従う道理もない。ゆえにニトは早々に枷を課す仕事を放棄したというわけである。

 

死の神が人間に課していた<神の枷>を外すこと。それはすなわち人を死の運命から解放することに他ならなかった。そうして人々の体にダークリングが現れ始めた。

 

よって火の陰りは単なるきっかけに過ぎない。ダークリングが現れたより根本的な原因は墓王ニトだったというわけである。

 

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。