【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~19~
ニトの<誓約>で難易度が上がるのは、火の試練を阻害するためだった
初対面ではニトは敵対しない。彼の眠る領域に入っても玉座(?)から動くことはない。
侵入者たる不死が領域を探索し、彼の眷属であろうスケルトン達を返り討ちにしてもである。
また墓王ニトは誓約を結ぶことができ、独自の武器や奇跡を贈呈してくれる。
だがフラムトから<王の器>を受け取った途端に敵対し襲い掛かってくる。
ダークソウル本編におけるニトの主な挙動をまとめるとこのとおりである。
そしてここに、これまで述べてきた筆者の見解を加えて考察をしていこうと思う。
ニトに関する筆者の私見をまとめたものは以下の通りである。
- 人間から王のソウルを得て神になったニトは、人間たちを薪にする火継ぎシステムを面白く思っていなかった。
- グウィンと手を組んで不死を封じる<神の枷>を人間に嵌めていたものの、はじまりの火が消え、グウィンの時代に陰りが見えたことを切欠に役目を放棄した。
- 人間に敵対する意志は無く、人間を薪にする神々に手を貸す意志は無い。
ニトは火継ぎという人間の犠牲によって、火の時代が作られることに
不満があった。そして役目を放棄し火継ぎに加担するのもやめたのである。
そんなニトがフラムトや幻の王女に唆されて<王の器>を所持している
人間(不死)を見れば、どんな反応を示すかは想像に難くないと言えるだろう。
ニトは火継ぎには加担しないのだから、自らが持つ王のソウルを素直に渡すわけがないのである。
さらに不死がニトを討つことで王のソウルを入手してしまえば、火継ぎの成就に近づいてしまう。
火継ぎが成されれば、不死は火の時代を維持するための
人柱たる薪にされてしまうのである。
人間を薪にすることを望まなかったからこそ、ニトは王のソウルを奪われないよう玉座から動き出したのではないだろうか……。
薪として利用されそうになっている不死を止めるため、ニトは玉座から立ち上がり、そして討たれたのだと。筆者はそう解釈したのである。
ニトの沈黙は不死側の神だったが故か
また筆者はたとえ名も無き不死に討たれたとしても、ニトは不死を恨んではいなかったろうと考えている。
ニトもまた、おそらくはグウィンの甘い言葉に乗せられ手を組むことで、数え切れないほどの人間の運命を歪めてきた。
ついに不死の手で討たれる瞬間が迫ったとて、これも自分が招いた因果として、全て受け入れたのではないか。だからこそ彼は何も語らなかったのだと。
人間をただの道具としてしか見ていなかったのなら、また火が陰った
ことで人間が不死化したのなら、真実が漏れぬよう対策を打って
しかるべきなのに、ニトは何もしていない。
特にニトが鎮まる地下墓地や巨人墓地は、人間の椎骨に細工する
ニトの仕事場なのだから、生きた人間が侵入することなどあっては
ならないはずで、侵入者があれば即座に抹殺しようと動くのが自然である。
だがニトは不死を殺そうとはせず野放しにしている。まるで好きなだけ見て回れば良いとでも言うように。
あるいはそのまま不死の手で己が討たれるのを待っているかのように。
もしかすると、王の器を手にしていない不死なのであれば、おとなしく討たれ、王のソウルを渡すことすら受け入れたのではないか。
また墓王ニトと先に誓約を結んでいた場合、ニトを倒しても誓約が破棄されることはない。
これらのことから、墓王ニトはたとえ人間に枷を嵌める行いから不死と敵対する立場だったとしても、心情的には不死側に立っていたのではないかと、筆者は考えているのである。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。