ソウル照覧

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【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~12~

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グウィンが不死を封じたのはニトの<折れない心>を怖れたからだった

結論から言ってしまうと、グウィンに人間の不死を封じようと決意させたのはニトである。

 

だがおそらくはニトがグウィンに不死を封じろ、と意見したのではないと筆者は考える。誤解を避けるために一応ここで前置きしておく。

 

先述したように、むしろニトと協定した上で人間の不死を封じるように促したのはグウィンだと思われる。

 

グウィンはわざわざ死の神に頼んでまで、際限なく生まれる人間の不死性を封じた。

 

ここで注目したいのは一部の人間ではなく、全ての人間に対して

枷を嵌め、封印を施したという点である。

 

ここまで来ると度を過ぎているとかいうレベルではない。何らかの執着めいたものすら感じられる。

 

圧倒的不利を覆した不死の力にグウィンは恐怖した

全人間の不死を封じるという常軌を逸した行動に

グウィンを走らせたのは、他でもないニトの<不死の英雄>としての力であった。

 

筆者がこれまで述べてきたように、ニトは不死を封じられる前の神代の人間であり、グウィンやイザリスらよりも圧倒的不利な条件下だったのにも関わらず、王のソウルを手にした。

 

それを可能としたのは、ひとえにニトが不死だったからである。

死なないからこそ、属性相性で不利な<はじまりの火>に何度焼かれようとも、火に挑むことを継続(コンティニュー)することができた。

 

またニト以外にももちろん、王のソウルを得ようとする人間やその他の種族もいただろう。

 

時にはそういった道を阻む輩との闘いになり、殺されたことも

あったろうが、不死であれば生き返り、再度やり直すことができる。

 

こうしたニトの闘いを、グウィンらとて知らなかったはずはない。

 

はじめは取るに足らないちっぽけな生き物が、無謀な挑戦に挑んでいる様を、虫が炎に飛び込んでいるくらいの印象でしか見ていなかっただろう。

 

だがニトは決して諦めず、自らの不死性をフルに活かし、

やがて王のソウルを手に入れるまでに至った。

 

たとえ死なないとしても、それだけでは王のソウルにたどり着くことはできなかったろう。

 

だが<不死>の力に人間の<折れない心>が宿ったことで、その奇跡は起きたのである。

 

虫けらとしか思っていなかった存在が、それほどまでに強大な存在へと昇華するなど、誰が思っただろう。神々は人間の底力に戦慄したはずである。

 

人間にはあまりに過酷な火の試練を、ニトは人間が持つ不死性と折れない心によって乗り越えた。

 

だがそれと同時に、図らずも不死の力の怖ろしさを証明してしまったのである。

 

グウィンもまた、人間の不死性と意志の力に脅威を感じ取ったであろうことは想像に難くない。

 

人間を不死のままにしておけば、いくら神々が火の時代で人間たちを

支配しようと、その支配から脱することを望めば、いずれ達成されるのは目に見えている。

 

ためにグウィンは、人間の不死性を封印することを画策したのである。

 

グウィンにとってニトとの協定は、火の時代をより盤石なものにするための索だったのだ。

 

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。