【ダークソウル考察】五行思想で考察する、グウィンは本当に太陽の王だったのか?説~2~
もちろん一介の神であったならば、そこまで自分の本質を偽るのは容易ではない。
だがそれを可能とする者が一人だけいる。
世界の支配者であり神々の王グウィンである。火の時代の創始者である彼の権力を以てすれば、自分の来歴をいくらでも飾り立てることは可能である。
現に彼は自分の長子を正史から抹消している。そして長子を覚えている存在は人間の中では誰もいなくなった。
ここに来て、ダークソウルにおける雷の奇跡、つまり大王の神話は
グウィン本人による粉飾であったとしても、おかしくはないという考えに至るのである。
ダークソウルシリーズに登場するシャラゴアは、グウィンの成れの果てと思われる存在について、こう述べている
「見栄っ張りの嘘つきで、最後は自分を火の中に放り込んだ」と。
グウィンが嘘つきであったというのは、本当である。真っ先に挙げられるのは、先述した長子の逸話である。
グウィンの長子が本当はいたのにも関わらず、
長子が”愚かな過ち”を犯した後、追放しただけなく、なんと
存在自体をあらゆる記録から抹消してしまうのである。
つまり、グウィンは長子が存在したのにいなかったことにし、それを
正史にするという、歴史のでっちあげを行った。
長子がなにをしたにせよ、自分の子をここまで否定する時点で、相当に見栄っ張りな上にエゴの強い性格であったことが見て取れる。
こういった性質を持つ神なのであれば、粉飾にまみれた物語を、
世界中に流布することだってしかねないのではないか。
雷の奇跡が抱える矛盾
ここまで奇跡の特性を通じて、グウィンが神話による粉飾を行っていた
可能性を提示してきたが、もちろん、それだけでグウィン≠太陽の光の王
への疑いを片付けられるとは思っていない。
ここからは雷の奇跡に関する考察を通して、さらに
雷の力と太陽の光の力の違いを見ていきたいと思う。
ダークソウルにおいて、太陽の力とされているものと言えば、
雷の奇跡が真っ先に挙げられるだろう。
だが一方で太陽の名を冠するものの、効果の異なる別の奇跡が存在する。
太陽の光の王女グウィネヴィアによって授けられたとされる奇跡である。
太陽の光の癒し(ダークソウル1)のテキストより
太陽の光の王女グウィネヴィアに仕える
聖女たちに伝えられる特別な奇跡
周囲も含め、HPを大きく回復する
すべてに愛されたグウィネヴィアの奇跡は
その恩恵をひろく戦士たちに分け与えるが
誓約者でなければ使うことはできない
※このほかに<太陽の光の恵み>の奇跡があるが、テキストはほぼ同じ。
2種類の効果と見た目を持つ奇妙な太陽の力
ダークソウルの中でもこれら雷の奇跡・太陽の王女系統の奇跡は、ある奇妙な特徴を持つ。
それは同じ太陽の光の属性を持つとされているにも関わらず、
それぞれが発動したとき、以下のように
全く異なるエフェクトと効果を持つ、という点である。
・太陽の光の槍・太陽の光の剣・雷の大槍・雷の槍
→電気のような見た目のエフェクトと音
相手に雷属性のダメージを与える
・太陽の光の恵み・太陽の光の癒し
→暖かそうな光のエフェクトと音
体力を回復させる
他の魔法スキルを見ても、一つの属性で
ここまで顕著に異なる2種類の特徴を持つ魔法は見当たらない。
シリーズ内における他に似た例を挙げるとすれば、
混沌の炎や罪の炎などが挙げられるが、それらは一貫して攻撃魔法になっている。
よってこの点においても、太陽の力による奇跡の奇妙さが浮き彫りになるのである。
太陽の光の奇跡と効果が全く異なる雷の奇跡
ではこの奇妙さについてどう考えれば良いのか。
なぜ太陽の光による力のみが、攻撃と回復の効果を生み出せるのだろうか。
そこで改めて雷の奇跡による効果をおさらいしてみよう。
ダークソウルにおける雷属性の効果をざっとまとめるとこのようになる。
こうしてみるほど、雷の奇跡は太陽の光の王女系統の奇跡と、
同じものとは思えぬ特徴しか見出せない。
なによりも太陽の王女の奇跡と違って、竜や金属に強い雷属性という
一つの属性として突出してしまっている。
ここからまた疑惑が顔を出しはじめる。やはりグウィンの雷の力は
太陽の力とは異質なるものなのではないのかと。
その疑惑を解明する意外なヒントこそが、陰陽五行説だったのである。
五行思想を基づいて考察したとき、太陽の光の王グウィンと
その一族の根底を揺るがす、一つの解答が浮かび上がってくる。
太陽の光の王グウィンが持って生まれた雷の力は、そもそもが
太陽の力とは別物だったのではないかと。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。