ソウル照覧

ソウルシリーズと趣味の民俗学・歴史等を考察しているブログ

【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~5~

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<最初の死者>は不死であるがゆえに蘇った

こうしてニトの死因についての理屈は明かされたわけだが、

まだ解くべき問題が片付けられたわけではない。

 

筆者がこれまで述べてきたように、ニトは王のソウルを得る前に

<はじまりの火>によって死んでいた。だから<最初の死者>となった。

 

次なる謎は、ニトは死んだのになぜ活動しているのかである。

ニトはダークソウルのあらすじから、<最初の死者>と号されているというのにピンピンしている。

 

<死者>とは一体……と普通ならば途方に暮れるところである。だがそれは<ソウルシリーズ>の世界観を知らぬ者であれば、の話である。

 

我々はこのシリーズを通して、<死>の概念などもはや小さなもの

とばかりの状況を目の当たりにしてきた。

 

実際、我々の分身となる主人公からし不死である。

不死だから死なず、だからこそ強大な敵に何度殺されようと、

その度に蘇りを繰り返し、やがて全ての敵を平らげるのが

<ソウルシリーズ>のお約束である。

 

これはダークソウル世界に君臨する神ですら持たぬ特質である。

 

グウィン神族と人間の決定的な違いの一つは、自力で蘇れるか否か。

神は滅ぼされたら、何らかの措置を施しておかない限り蘇ることはできない。

 

一方で人間は躰にダークリングが現れると不死となり、

何度殺しても自動的に蘇り死なない存在となる。

 

ダークソウルにおいて主にこの不死の特質を持つのは、古き時代に跋扈していた古竜と人間である。

 

宮崎Dの解説によると、ダークソウルの古竜は半ば鉱物のような存在であるという。

 

五行においての金属性とは、鉱物や金属を指す。

つまり古竜もまた金属性である。

 

こうした鉱物類は古来より不死や長寿信仰のシンボルとされてきた。

 

日本神話で有名な例を挙げれば、イワナガヒメの神話がある。

かの女神もまた名前にが入っており、その権能は<岩のように長い寿命と繁栄>である。

 

金属性の古竜や人間にだけ、不死という特質が与えられているのは、

こういった古代からの信仰を、設定のベースにしているのだろうと筆者は考える。

 

筆者が何を言いたいのかもうおわかりだろう。そう、ニトは元人間だったのである。

 

ニトは熾烈な闘いを制し<はじまりの火>から王のソウルを見出した

ニトの正体が不死の人間なのであれば、なぜニトが<はじまりの火>に

焼かれても死なず、王のソウルを手にできたのかも説明が付く。

 

<はじまりの火>に焼かれ、焼かれて、尚骨になるまで焼かれても、ニトは蘇り続けた果てに王のソウルを得たのである。

 

これが「火に剋される金属性」であったのにも関わらず、

ニトが<はじまりの火>から王のソウルを見出すことができた理由である。

 

もしかするとニトの他にも、王のソウルを求め<はじまりの火>に挑んだ人間がいたかもしれない。

 

人間達の間でどのくらいの期間、ソウルの争奪戦があったかは定かではないが、古き時代の熾烈な闘いを制し、王のソウルを得たのはニトだったということだろう。

 

ニトに冠された<最初の死者>という号は、<不死の中で最初に王のソウルを得た者>という意味も含まれているのかもしれない。

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。