ソウル照覧

ソウルシリーズと趣味の民俗学・歴史等を考察しているブログ

【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~10~

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誰も知らぬ小人は、すでに不死ではなかった

神代のニトと誰も知らぬ小人には実は大きな違いがあった。

それは<不死かそうでないか>である。

 

順序を追って考えてみよう。ニトは古き神代の人間だった。その当時の人間は不死だった。

 

だが後世となる火の時代の人間は不死ではなくなっていた。

 

これこそが人間であったニトと、誰も知らぬ小人を線引きする境界だったのだ。

 

筆者はニトと人の歴史は、ダークソウル本編では大きく端折られてしまっていると考える。

 

このせいでニトの詳細がよく見えず、さらに人が不死で無くなった事情にもついても非常にわかりにくい構成になっていると。

 

特にオープニングはかなり走り気味にダークソウル世界の歴史を語っているため、ニトが神に至るまでの歩みだけでなく、不死であった人間に何が起こったのかも、はっきりと語られていない。

 

そして誰も知らぬ小人がどうして<闇のソウル>を選んだのか

も謎となっている。考えてみれば、これも妙な話である。

 

火が熾った当時は、グウィンらも本編で語られたような強大な神ではなく「闇から生まれた幾匹か」に過ぎない存在だったのに、なぜか誰も知らぬ小人だけが、はじまりの火の傍らに立ち、<闇のソウル>を手にしている。

 

ここでの大きな疑問は誰も知らぬ小人は、他の神々のように

<王のソウル>を得ていないのに、<人間の祖>となっているという点である。

 

まずはっきりさせるべきは、なぜ誰も知らぬ小人が<人間の祖>と呼ばれ、ニトと明確に区別されているのかという点だろう。

 

よく目を凝らしてみると、かすかにだがヒントはある。

 

では誰も知らぬ小人がなぜ<人間の祖>となるのか、その理由についての考察を述べていきたいと思う。

 

人間の祖は不死でなかったために闇のソウルを見出した

ダークソウルのオープニングでは、ニトが不死性を発揮して王のソウルを得たのに対し、誰も知らぬ小人は燃え盛る火の傍で、小さい種火のような闇のソウルを得た様子が描かれている。

 

だがニトと誰も知らぬ小人が同時代に存在していたのであれば、

この経緯は流れとして腑に落ちない点がある。

 

再三述べてきたように、人は元々不死であり、だからこそニトは人の身であっても死と蘇りを繰り返すことで、王のソウルを獲得できた。

 

であれば誰も知らぬ小人もニトと同じく不死性を持っていたはずだし、

グウィン達も「闇から生まれた幾匹か」程度の存在なのだから、

王のソウルを目指せたはずだ。

 

それなのに誰も知らぬ小人は<はじまりの火>そっちのけで、闇のソウルを拾いに行っている。

 

筆者はどうにもそれが解せなかった。

だが、それは筆者がオープニングの映像から、ニトと誰も知らぬ小人は同じ条件下で、ほぼ同時代に存在するという思い込みを持ち続けていたからなのである。

 

この疑問を解くには、こうした筆者自身の固定観念によるフィルターをまず破壊した上で考察に臨む必要があったのだ。その上で再度、情報を整理してみよう。

 

先ほども述べたが、ダークソウルのオープニングは、正史の流れがかなり端折られてしまっている。

 

よって実際の正史の流れと、筆者のオープニングから得ていた認識にはズレがあったのではないか。その仮説を基にすると、ある推理が浮び上がってきたのである。

 

誰も知らぬ小人が闇のソウルを拾ったのは、グウィン達が王のソウルを得て神に昇華した後であり、その頃の人間は不死では無くなっていたのではないかと。

 

これならば、誰も知らぬ小人が<はじまりの火>から、王のソウルを見出せなかったことにも納得がいく。

 

誰も知らぬ小人は、火を無視していたのではなく、近付けなかったのだ。その時彼はとうに不死性を失っていたからである。

 

筆者は五行説を踏まえた考察で、誰も知らぬ小人は「金行」であったと述べた。

 

火に剋される金の属性であっても、ニトの場合は不死であったので、

<はじまりの火>に焼かれても復活できたが、不死を失っている小人の場合は、焼かれたらそこで終了となる。

 

こんな状態では到底<はじまりの火>から、王のソウルを見出すことなどできない。

 

そしてその不死を失った状態の小人こそが、オープニングで登場した

<闇のソウル>を見出した小人であり、火の時代での<不死でない人間>を指すのであれば、誰も知らぬ小人は確かに<人間の祖>である。

 

しかしあるいは逆かもしれない。最初に誰も知らぬ小人が闇のソウルを得たことで、人は不死となり、ゆえにニトも不死性を持つことができた。そう解釈することも確かに可能ではある。

 

この流れだと、何故人間が不死を持つに至ったかの説明が付くわけだ。

 

とはいえ誰も知らぬ小人が、王のソウルでなく闇のソウルを手にした理由としては、

今のところ、不死でないために火に近づけなかったからという理由の方が筆者の中では優勢となっている。

 

どちらにしろ、これらの理由によって

誰も知らぬ小人は、<人間の祖>と言えるのではないだろうか。

 

以上のことから何故元人間でありながら神となったニトではなく、

誰も知らぬ小人が<人間の祖>と呼ばれたのかについての疑問が、

こうして一気に氷解したわけである。

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。