【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~8~
本編で明かされることの無かった、墓王ニトの成り立ち
ニトの歴史は不死(主人公)の歩みの中にあった。
こうして考えると、ダークソウルの始めからあった篝火システムや、
不死が人間性・ソウルを集める意味もちゃんとあったのだとわかってくる。
これまでダークソウルの仕様として見てきた、不死にとっての世界を生きる手段は、かつてのニトにとっても同じ意味を持つものだった。
あのように骸骨が折り重なっている姿をしているのも、
火に挑み、幾度も火に焼かれ、それでも人間性を啜り(すすり)ながら自分を強化していった末の姿なのかもしれない。
あるいはあの無数の骨の中には、人間だけでなく神や巨人、竜も含まれている可能性もある。
なにせダークソウルの不死達も、種族を問わずソウルを狩ってきたのだから。
とすると、ダークソウルに設けられた不死の攻略を助けてくれる
システムを改めて見直していくことで、またなんらかの面白い考察が浮かび上がるかもしれないが、この考察の主役であるニトから遠ざかってしまうので、まず今やるべきことに集中していきたい。
不利な状況の中、ニトは果てしない火の試練に挑んだ
それよりもニトが不死であったということ考慮すると、これまたダークソウルの見方も変わってくる。
ダークソウルの主人公たる不死が、ニトの行動をなぞっていたとするならば、ニトは古き時代に今の不死らと、同じ立場で闘っていたということになるという推理が浮かび上がる。
つまり墓王ニトは神となる以前は、古き時代に存在した<不死の英雄>であったということであり、もしそうならばニトは
<世界に死をもたらした者>であると同時に、<最初の不死の英雄>とも言えるのである。
ある意味不死(主人公)らは、古き時代に不死の戦士として闘っていたニトとっての後輩という位置づけになる。
そしてダークソウルの不死らと同じように、ニトもまた王のソウルを
目指して<はじまりの火>という試練に挑んでいた。
だが五行説で言えばニトは人間であり、ダークソウルの世界における
五行では「金」に属する。火剋金の関係上、ニトは木のグウィンらよりも条件は不利である。
その上でニトは王のソウルを求め、<はじまりの火>という強大な存在に挑んだのだ。今の不死たちと同じように。
それはちっぽけな人の身には果て無く永い、火に挑み続ける歴史であった……。
果てない苦難を越え、墓王ニト誕生す!
王のソウルに惹かれた無知な彼は身の程知らずにも、火に触れ焼け死んだ。
そうしてニトは<最初の死者>となった。
心無い者は滑稽な道化として彼をそう呼んだかもしれない。
<あいつは火に触れた身の程知らずだ>と。ニトが火で死んだことによって、<火に触れたら焼かれる>ことが初めて明らかになったのにも関わらず。
小さな人が幾度も火に焼かれ、それでも王のソウルを得ようと
諦めない姿を、神々もまた苦笑いか嘲笑しながら見ていたことだろう。まるで火に飛び込む虫のようだと。
最初のペンギンは時として嘲笑われるものである。こうして多くの者たちから、心無い中傷を受けたかもしれない。
だが彼は不死。死ぬ度に学習しソウルを集め、
人間性を啜(すす)り、より強くなってまた火に挑む。
ニトは王のソウルに挑み続けることを決してやめなかった。
無謀だと、何度後ろ指差されようとも。幾度打ちのめされようとも。
やがて彼は、果てしない苦行の末、
ついにたった一つだけ残った王のソウルに辿り着いた。
<はじまりの火>による<最初の死者>であった彼は、
王のソウルを手に入れ、その瞬間から王となった。
全ての死を越え、その果てに彼が得たのは全ての死を支配する力だった。
これが大いなる死者、<墓王ニト>誕生の顛末であると筆者は考察するのである。
ニトは<全ての死>を己の力に変え、
最後の王のソウル争奪戦を制した不死であったと。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。