【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~9~
なぜ神になったニトが<人間の祖>ではないのか
ニトが元人間であり神代の不死でもあったのならば、その他の人間たちもまた王のソウル争奪戦に挑んだであろうことは想像に難くない。
しかし思い返してみれば、ニトが古き時代の人間だったのなら、
ダークソウル本編で<人間の祖>と語られた<誰も知らぬ小人>はどうなるのか。
オープニングの流れから見て、<最初の死者ニト>と<誰も知らぬ小人>は、ほぼ同時代の存在に見える。
であれば、だ。ニトと誰も知らぬ小人が明確に区別されているような
描き方をしているのは何故なのだろう?
両者を比べても王のソウルを得た実績からして、ニトが<最初の死者>であると同時に、<人間の祖>と号されても良さそうなものである。
だが本編中でニトが<人間の祖>であったと語られる場面は一切無い。
しかしこれまでの考察からして、ニトと人間(不死)が全くの無関係であったとは思えない。
現にニトは死を司る神となったのであり、
この権能とて不死と決して無関係ではあるまい。
そして火の時代では、人が不死であったことが忘れ去られ、人は神よりも短い寿命を迎えて死すべき定めとなっている。
全ての人間が死ぬ定めにあるのならば、ますますニトと人間は無関係ではいられないはずである。
だのにダークソウル本編では、その繋がりについて詳しく述べられる場面がまるで無い。
いつか死ぬというのであれば、むしろ人間達にニトの存在は知れ渡っていても良いはずなのに、
そういった人とニトの繋がりが、まるで最初から無かったか
のようなミッシングリンクが発生しているのである。
考えてみれば妙な話である。疑問はまだある。
神代の人間は皆不死であったというのならば、後生の人間はいつ、
どこに、何が原因で不死を置き忘れてしまったのか。
これらの疑問に対する答えは、人とニトの繋がりにある。筆者はそう思えてならないのである。
ニトと誰も知らぬ小人を分かつものは何か
ニトが元人間なのであれば、なぜ露骨に誰も知らぬ小人と区別するような扱いとなっているのか。
そして人間は不死だったのに、どうして不死で無くなったのか。
一つずつ見ていこう。まずはニトも人間であったのに、誰も知らぬ小人と明確に区別されている理由について。
とはいえこの問題については、素直にこう思う方が多いのではないだろうか。
「ニトは神で人間とは違う存在だからだろう」と。
確かにそうだろう。だが筆者はそこまで素直でないので、あえてもっと踏み込んでみたのだが、
そうすると「ではなぜ王のソウルを得たニトがグウィンのように、
大いなる人の祖として神話となっていないのだろう」という疑問にぶち当たるのである。
ニトが元人間ならば、苦難の末に王のソウルを得て神になった
という英雄譚が、世界中を席巻していても良いはずである。
さらに言えばそのまま<死の神であると同時に偉大な人間の遠祖である>という伝承があっても良いはずなのに、
特に大きな実績も語られておらず、神にもなっていない誰も知らぬ小人がニトを押しのけて<人間の祖>となっている。
どうにもちぐはぐな印象を受ける。それこそ死者が起き上がり、動いているかのような違和感である。
だがこの疑問に対する突破口を開けてくれたのは、意外にも「なぜ後世の人間は不死でないのか」という疑問だったのである。
~次回に続く~
※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。