ソウル照覧

ソウルシリーズと趣味の民俗学・歴史等を考察しているブログ

【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~6~

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シャラゴアが語る、誰も知らぬ小人の過去

以上の考察から今まで多くのことが不明だった、墓王ニトに関する情報が大分明らかになってきたのではないだろうか。

 

ここでもう一つ考察で明らかにしておきたいことがある。

それは誰も知らぬ小人が、なぜ金行に当てはまるのかについてである。

 

大分先に述べたが、筆者は誰も知らぬ小人もまた、

ニトと同じく「金行」であるとした。

 

これまでニトの考察にかかりきりだったので、ここいらで

誰も知らぬ小人がなぜ金属性であるのかも述べておこうと思う。

 

とはいえダークソウルの考察に明るい読者であれば、誰も知らぬ小人について説明することなど、ほとんど無いように思えるかもしれない。

 

一応事情を知らない読者のために説明すると、誰も知らぬ小人の正体は古き時代にいた、ダークソウル世界における人間の祖である。

 

誰も知らぬ小人が火から得たのはグウィンらとは異なる、

かすかな光しか放たないソウルだった。

 

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この場面については<闇撫でのカアス>によって、以下のように語られている。

 

闇撫でのカアスのセリフより(ダークソウル1)

「 …かつて火のはじまり、貴公ら人の先祖は

古い王たちの後に、四つ目のソウルを見出した

闇のソウルだ

貴公らの人の先祖は、闇のソウルを得て、火の後を待った

やがて火は消え、闇ばかりが残る

 さすれば、貴公ら人、闇の時代だ」

 

古き時代、不死の人間たちは地下にいた?

さてダークソウルのオープニングで 「そして誰も知らぬ小人」というフレーズが流れる場面を見ていただきたい。

 

ここは人間の祖である誰も知らぬ小人が、おそらく闇のソウルを見出した場面である。

 

この場面はすぐ流れていってしまうこともあり、あまり指摘されないのだが、一時停止して小人がいる場所に注目してみてほしい。

 

小人の周りは岩肌がむき出しになっている地形が広がっているようだが、まるで鍾乳石のようなものも見える

 

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天井も岩肌に覆われているようで、要するに洞窟のような地形であることが覗える。

 

こんなところにいたら、二酸化炭素中毒になるんじゃないのかと心配になるが、多分大丈夫なのだろう。

 

それはさておき、ここで注目したいのは小人が洞窟の中にいるという点である。

 

実は五行思想における金行は、相生(そうせい)の概念において土生金(どしょうごん)土を掘ることで金を得るという関係になっている。

 

つまり金行は土行の中にある。これをダークソウル世界における、誰も知らぬ小人が金属性であるという考察に当てはめると、古き時代の人間は土の下……つまり地の下にいたのだという答えが導き出せるのである。

 

以下にダークソウル2に登場する、愛しいシャラゴアのセリフを引用する。

 

これは墓王ニトの成れの果てと思われる、<古き死者>に関する証言である。

 

4つの大いなる者らの成れの果てについては、ACID BAKERY氏が詳しく考察されており、筆者も参考にさせていただいている。

 (記事中でご紹介する許可を、ご本人からいただきました。ありがとうございます)

 

一応説明すると、ダークソウル2に登場する大いなる4つの存在の一つ

<腐れ>という存在は、ニトに憑かれたサルヴァの王であるとしている。

 

話が若干逸れたが改めて、墓王ニトの成れの果てに関する、シャラゴアの証言に注目していただきたい。

 

「ずっと昔から地の底にいて、いまもそこにいる。もう“腐れ”になっちゃってるのよ」

 

これがなんなのかというと、要するにこの証言は、ニトが元人間であったこと、人間は遥か昔、地の下あるいは洞窟の中にいたことを指しているように解釈できるのではないか、ということである。

 

そう考えるとオープニングで誰も知らぬ小人が洞窟のような場所にいた理由、そしてさらにニトが元人間であったがゆえに、不死という特質を持っていたのだということも、すんなりと理解できるのである。

 

こうして五行思想の金、そしてニトと人間の不死性の共通点から、

ニトの成り立ちに迫ることができた。

 

だが実のところ話はここからである。ニトの成り立ちと誰も知らぬ小人の繋がりから、掘り下げられることはまだまだある。

 

これまでの話は、以降の考察に比べれば前座に過ぎない。

墓王ニトに関する考察は以降が山場となる。

 

そしてそれはダークソウルの<正史>に埋もれた、

誰も知らぬ不死の英雄の物語でもある。

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。