ソウル照覧

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【ダークソウル考察】墓王ニトは最初の<死者>にして<不死の英雄>だったかもしれない説~3~

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五行思想で見えてくる<はじまりの火>とニトの関係

グウィン・イザリスの魔女・ニト・誰も知らぬ小人を五行の属性に当てはめたことで、(この考察における)ニトの死因を解明するための準備は整った。

 

ではずばり言おう。ニトを殺したのは<はじまりの火>である。

 

ニトはダークソウルの世界において、おそらく初めて<はじまりの火>に焼かれ、死んだ存在であると思われる。

 

ニトが冠する<最初の死者>という号はまさにそのままの意味だった。

 

<最初の死者>には「はじまりの火によって最初に死んだ者」という意味が密かに込められていたのである。

 

そのような説を挙げる論拠が先程述べた五行思想における、グウィン・イザリスの魔女・ニト・誰も知らぬ小人の属性である。

 

筆者はニトと誰も知らぬ小人を五行のいずれかに当てはめるならば、

<金行>と考える。

 

ニトが<金行>なのであれば、火によって死んだという流れも、

五行の関係性からすればまあ……理解できなくはない。

 

ファンタジーものでよくあるタイプ相性では、金属類の属性は火属性を弱点とする場合が多いからだ。

 

といってもここで問題となるのは、なぜニトらが「金行」となるのか、という点である。

 

もちろん、何の理由もなしに、筆者はニトと誰も知らぬ小人を<金行>と比定したのではない。

 

ニトらが<金行>と言える根拠は、我々が見てきたダークソウルの世界にひっそりと、だが確かに存在している。

 

実はダークソウルの物語が始まったときから、我々はそれらの情報をしっかりと目撃していた。ただ情報は我々のように饒舌ではないので、見過ごしていたのである。

 

だがしかしそれこそがニト、および誰も知らぬ小人の歴史を語る情報

でもあったのである。

 

一見してそれらのヒントはごくささやかな存在感しかないために、

取るに足らないもののように見える。

 

しかしてニトと誰も知らぬ小人に関する情報が示すのは、暗闇ほどに

果て無く長く、永い、「死なず」の歴史でもあったのだ……。

 

あらすじから考察するニトの成り立ち

筆者がニトと誰も知らぬ小人を、ダークソウル世界の五行における

金属性と比定した根拠の一つは、すなわちオープニングで語られる

「物語のあらすじ」である。

 

ダークソウル1のオープニングより

 古い時代

世界はまだ分かたれず、霧に覆われ

灰色の岩と大樹と、朽ちぬ古竜ばかりがあった

 

だが、いつかはじめての火がおこり

火と共に差異がもたらされた

熱と冷たさと、生と死と、そして光と闇と

 

そして、闇より生まれた幾匹かが

火に惹かれ、王のソウルを見出した

 

最初の死者、ニト

イザリスの魔女と、混沌の娘たち

太陽の光の王グウィンと、彼の騎士たち

そして、誰も知らぬ小人

 

それらは王の力を得、古竜に戦いを挑んだ

 

このあらすじでは、まず霧に覆われた古竜ばかりの世界があり、ある日世界に<はじまりの火>が熾ったとある。

 

そして火に惹かれて、ニト・イザリスの魔女・グウィン・誰も知らぬ小人らが、火から王のソウルを見出したと。

 

以上の内容の中で、ニトの正体を探るにおいてまず重要なポイントと

なるのが、火が熾った後にニトが<最初の死者>と号されている点である。

 

その上であらすじの流れを考慮すると、ニトは<最初の死者>と呼ばれるようになった後で王の力、すなわち王のソウルを得たと解釈できる。

 

実際にあらすじでは

 

火と共に差異がもたらされた

熱と冷たさと、生と死と、そして光と闇と

 

というようにまず生と死の概念があり、王のソウルを手にした墓王ニトが登場するのは、その後である。

 

そしてニトが死の権能を司る神<墓王ニト>として君臨していたのは、

王のソウルを得たためである。

 

同じくグウィンらも、王のソウルを得たことによって、神なる存在へと昇華した。

 

つまりあらすじの通りであるならば、ニトは「死んだ後に王のソウルを得て神となった」のである。

 

火に惹かれたニトは死に、<最初の死者>となった

どうしてニトは<最初の死者>と呼ばれるようになったのだろう。

 

その疑問に対する答えこそが先述した、「ニトを殺したのは<はじまりの火>である」という私見である。

 

ここに来てようやく、ニトが<最初の死者>と呼ばれた謎を解き明かすことができる。

 

もう一度、あらすじの方に目を通してみよう。文中にある

 

そして、闇より生まれた幾匹かが

火に惹かれ、王のソウルを見出した

 

 というフレーズに注目していただきたい。

 

あらすじには「闇より生まれた幾匹かが火に惹かれ、王のソウルを見出した」とある。

 

オープニングの映像を見てみると、このフレーズが流れる場面で、「闇より生まれた幾匹か」と思われる存在が映し出される。

 

「闇より生まれた幾匹か」は王のソウルを見出したとあるのだから、彼らこそが神になる前のグウィンらに相当する。

 

そしてあらすじによると、この「闇より生まれた幾匹か」なる存在たちは、「火に惹かれ、王のソウルを見出した」とある。

 

このフレーズから、グウィンらが王のソウルを手に入れた経緯としては、<はじまりの火>の中から王のソウルを見出したと解釈できる。

 

つまり王のソウルを得るには、<はじまりの火>に触れなければならないということだ。

 

この<はじまりの火>に触れる必要があるという条件を前提に考えると、ニトは火に触れたことによって死亡したがゆえに、<最初の死者>になったのだということがわかるのである。

 

これがオープニングで、ニトが<最初の死者>と語られている理由だったと筆者は考察する。

 

ニトが<最初の死者>と号されているのは、ニトが火に惹かれ、

<はじまりの火>に触れたがために焼け死んだという経緯からだったのである。

 

~次回に続く~

 

※ダークソウルの解釈はこれが正解というものがなく、どう解釈するかは個人の自由です。あくまで一つの考察としてお楽しみください。